3月1日(水),今年初の浦戸諸島(宮城県塩竈市)有人4島(朴島,寒風沢島,野々島,桂島)の島歩きをして来ました。写真で報告します。今日は,その第2回です。浦戸諸島は素晴らしい!皆さんも島を巡りながら自然,歴史,文化に触れてみませんか。
前回に引き続き,寒風沢島の日和山展望台です。西側の海を望みます。
庚申塔です。旧暦では60日に一度庚申(かのえさる)の日が巡って来ますが,この夜眠ってしまうと人間の体内にすんでいる三尸(さんし)という虫が体内から抜け出し天帝にその宿主(人間)の罪悪を告げ,その人間の寿命を縮めると言い伝えられ、そこから庚申の日の夜は眠らずに過ごすという風習が行われました。一人では夜明かしをして過ごすことは難しいことから,庚申講(庚申待ち)が行われました。つまり,60日ごとに皆が集まり,夜明かしで酒を飲もうというわけです(笑)。庚申塔の特徴は,邪鬼を踏ん付けていることです。庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多いとのことです。
聖観世音菩薩のようです。
しばり地蔵です。寒風沢港が繁栄していた頃島内には遊郭があり,船出しようとする男達を引き止めようと,お地蔵様を荒縄で縛り逆風祈願したと伝わっています。ただし,地蔵菩薩ではなく,毘廬舎那仏(毘廬遮那仏)のようです。
集落のはずれに佇む六地蔵です。古代インドでは生類は六道(天道(天上道とも)・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)を輪廻転生する(つまり,永遠に死なない。)とされ,これは苦痛であると捉えていました。釈迦(ガーダマ・シッダールタ)はこの世のことはすべて無常と悟ることによって,この輪廻の輪から抜け出る(解脱する)ことができると考えました。解脱すると仏陀(如来)となりますが,一歩手前の存在が菩薩です。お地蔵さまも菩薩です(地蔵菩薩)。六地蔵は,六道のそれぞれを6種の地蔵が救うとする説から生まれたものであると言われています。私は,六地蔵の六道への配当(どれが天道の地蔵で,……どれが地獄道の地蔵なのか,ということ)を考えて,これまで印相(いんぞう,手の指の形)又は持物(じもつ,手に持つ物)を観察して来たのですが,最早ほとんど諦め気味です(苦笑)。
六地蔵の向かって左側は,如意輪観音(にょいりんかんのん,観世音菩薩の変化身(へんげしん)の一つ)のようです。
なお,「六観音」とは,聖観音(地獄道),千手観音(餓鬼道),馬頭観音(畜生道),十一面観音(修羅道),准胝(じゅんでい)観音(人間道),如意輪観音(天道)とされています。
霊亀山松林寺(臨済宗妙心寺派,塩竈市浦戸寒風沢字愛宕)です。
坂本玄順先生墓です。寛政2年(1790年)寒澤寺に寺子屋が置かれ,玄順が指導したとのことです。
化粧地蔵です。白い粉を塗って祈願すると,美しい子が授かると言われているそうです。
本堂です。伊達氏の家紋・竪三引両(たてみつひきりょう)が見えます。松林寺が伊達氏所縁(ゆかり)の寺院であることが判ります。竪三引両は,伊達氏第1世・朝宗が文治5年(1189年)源頼朝から拝領した幕紋二引両(まくもんふたつひきりょう)を後代竪三引両に改め輪郭に入れ図案化し定紋としたもので,伊達氏の家紋では最も古いものです(伊達家伯記念會「伊達家の家紋」から引用)。
六地蔵です。
延命地蔵です。この石仏は元観音堂参道にあったものを明治37年聖観世音菩薩像(行基作)と同時にこの地に遷座されたものであるとのことです。この地蔵像は享保年間(1716年~36年)江戸で作られ,千石船によってこの地へ搬送されましたが,この船は順風に恵まれ1日1夜で到着したと言われ,そのことから一夜地蔵の別名もあるそうです。
松洞山寒澤寺(真言宗,塩竈市浦戸寒風沢字愛宕)です。江戸時代鹽竈神社(塩竈市一森山)の別当寺であった法蓮寺(金光明山法蓮華院法蓮密寺)の末寺であったとのことです。鳥居があるので,神社かなと思ってしまいます。本尊は不動明王です。寒澤寺は明治時代初期に廃寺になっているはずです(法蓮寺は明治3年廃寺)が,現在も島民によって護られているようです。
さて,「百万遍供養碑」は「縦140cm,横85cm」とされています(平成22年3月宮城県教育委員会「特別名勝松島保存計画」,塩竈市HPなど多数)が,どれでしょうか?「鎌倉時代製」ともあります(「浦戸諸島〔資源目録〕」,「文化の港 シオーモ」など)。
光明真言供養碑です。「元禄十二」年(1700年),「長南喜右衛門五十六歳敬建石」とあるそうです。詳しい方によると「90人の信者が集まって真言を唱え,その数を冠して各々の名前を記したもので,一万遍から百五十万遍が見える。」とのことです。私は「百万遍供養碑」は光明真言供養碑であると考えています。ただし,何故「元禄12年(1700年)建石」ではなく,「鎌倉時代製」なのかは不明です。
歴代の住持職の墓碑などです。両脇にあるのは地蔵菩薩でしょう。
寒風沢桟橋から野々島学校下へ渡船に乗ります。電話をかければ迎えに来てくれます。塩竈市の道路扱いですので,運賃は無料です。
野々島学校下に到着しました。
宇内浜(うねはま)です。「ゆるりと過ごす 大人の島じかん」,爽やかな晴れの日は最高です。
それでは,明日の第3回に続きます。