立山黒部アルペンきっぷの旅(5)大観峰~立山 | 鉄道で行く旅

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続いて、「立山黒部貫光無軌条電車線(トロリーバス)」に乗車しました。

立山黒部貫光株式会社は、立山黒部アルペンルートのうち、富山県の黒部湖駅から立山駅までのケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスおよび立山高原バスなどを運行している企業で、現在の出資者は富山地方鉄道、富山県、北陸電力、関西電力、北陸銀行、みずほ銀行などです。

社名の中にある、聞き慣れない『貫光(かんこう)』という言葉は、初代社長の佐伯宗義(富山地方鉄道社長や衆議院議員を歴任)による造語です。この言葉は、本来は隧道の扁額に揮毫するような言葉だと思います。

たしか36年前の大観峰~室堂の間は普通のディーゼルバスでしたので、このトロリーバス(鉄道事業法の無軌条電車)は初めての乗車です。この路線がディーゼルから電車(トロリーバス)に転換したのは1996年のことでした。無軌条電車への転換理由は観光客の増加によりディーゼルバスの排出ガスがトンネル内の排気能力を上回ったことによるものだそうです。

そういうことから、関電トロリーバス(開業時は地方鉄道法の無軌条電車で1987年4月1日以降は鉄道事業法の無軌条電車)が集帰電用架線を使わない蓄電池式電気バスに変わった後は、この「立山黒部貫光無軌条電車線(鉄道事業法の無軌条電車)」が国内唯一の電気式のトロリーバスになります。

(2023年6月17日追記)

富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートを管理する立山黒部貫光(富山市)は、立山トンネル(全長3・7キロ)で運行しているトロリーバスを2025年度以降に廃止し、電気バスなどへの切り替えを検討しています。更新が必要な部品の調達が難しくなったことが原因ということです。廃止されれば、かつて各地で活躍したトロリーバスが国内から姿を消すことになります。

(2023年12月11日追記)

立山黒部貫光は2023年12月11日、無軌条電車(トロリーバス)事業の廃止を、2023年11月30日付で北陸信越運輸局へ届け出たと発表しました。立山トンネル(3・7キロ)を走る国内唯一のトロリーバスが2024年12月1日で廃止され、電気バスに置き換えられることになりました。

 

↓2019年から架線が不要な蓄電池式の電気自動車に置き換えられるため2018年の観光シーズン終了とともに引退した関電トロリーバスです。

ただし、ディーゼルエンジンのバスですが「名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)」の専用軌道区間(大曽根~小幡緑地)も、法規上は軌道法(路面電車の扱い)ではあるものの、立山黒部のトロリーバスと同類の無軌条電車の仲間です。

↓2006年に撮影した「名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)」の専用軌道区間(大曽根~小幡緑地)です。

大曽根行です。

昔は日本の各地に存在した都市交通としてのトロリーバス(東京都、川崎市、横浜市、名古屋市、京都市および大阪市で運行されていたが現在は全廃)の法規をそのまま適用したために「名古屋ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)」の専用軌道区間は軌道法の無軌条電車になっています。

2022年1月26日のニュースを追記します。
「名古屋市は2026年度をめどに高架の専用道を走る「ゆとりーとライン(大曽根駅~高蔵寺駅)」のガイドウェイバスを廃止、自動運転バスに切り替える検討を始めた。」ということです。

 

↑日本とは違って海外では今でも多くの都市で走っている都市交通のトロリーバスです。(参考画像:スイスのベルンとイタリアのボローニャ)

「無軌条」は本来は「無軌道」とするべきなのですが、日本は「言霊(ことだま」の国であるために、現行法の基になる法律を作った1947年に「無軌道」を忌み言葉のように扱って「無軌条」にしたのです。

 

立山黒部貫光無軌条電車線のトロリーバスの運転席です。

 

電圧計です。左から車上機器用と考えられる(?)26Vの電圧、補助電源装置に充電するための105Vの電圧、架線電圧の650Vです。

 

いよいよ大観峰(2,316m)を後にして立山の真下をくぐり抜けアルペンルート内の最高地点の室堂(2,450m)に向かいます。

 

トンネル内に設けられている対向トロリーバスとの交換施設です。

 

交換施設を過ぎて、孤独な隧道をひたすら走っていきます。

 

アルペンルート内の最高地点の室堂(2,450m)で昼食をとりました。

え~っと、「立山そば」です。富山駅の「立山そば」は何度か食べたことがありますが、これは室堂の立山そばです。「立山」の文字入りのカマボコが入っているものの、富山駅とは少し味が違うような気がしました。場所柄もあり、室堂は富山駅の2倍ぐらいの価格です。

 

標高2,000mを超える場所に来たのは2018年6月の「オスピツィオ・ベルニナ」以来です。

この室堂(2,450m)から立山高原バスに乗り、美女平(977m)まで一気に下ります。

 

36年前はバスも古い車体でしたし、バスが超満員でしたので風景を楽しむ余裕がなかったのですが、こんなに景色が良いところだったのですね。

 

車窓から見えた立山杉の巨木です。

 

美女平駅(977m)に着きました。

 

続いて、立山ケーブルカー(立山黒部貫光立山ケーブルカー)です。ちょうどH急交通社の団体客が乗り込んできたので首都圏の朝ラッシュのような超満員状態になりました。

幸いなことに私は通路側のシートに滑り込むことができました。立っている人はたいへん窮屈だったはずです。

 

立山ケーブルカーの特徴は、このような大きな貨車がケーブルカーに連結されていることです。現在でも立山方面への貨物輸送に使われているという説明がありました。

 

富山地方鉄道の立山駅(475m)です。ここから、ようやく本格的な電車の旅に戻ります。これで文字通り『一山越えて』やれやれというところです。

(つづく)