嵯峨鳥居本の平野屋 | 鉄道で行く旅

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400年の歴史を持つ嵯峨鳥居本の平野屋さんで軽食をいただきました。

愛宕神社の一の鳥居です。鳥居の奥の建物が平野屋さんです。

 

平野屋さんは、白洲正子さんや池波正太郎さんのお気に入りだった店としても知られています。(と書きましたが、この故人の2人だけのお気に入りの店というわけでもなさそうです)
池波正太郎さんの鬼平犯科帳に「平野や」として登場しています。

 

平野屋さんは夏場の鮎料理が特に有名ですが、季節を問わず京都の奥座敷のような料理屋として人気があります。

また、愛宕神社の参詣客などが一服する茶店としての利用も可能です。今回は後者の利用方法です。

 

私が注文したのは、秋・冬限定の大根炊き(炭火で焼き餅、しんこ団子、薄茶付き)です。

平野屋さんでは、軽食を意味する古い関西弁の「虫やしない(虫養い)」という言葉を使っていました。

関西弁の「虫やしない」とは一時的に空腹を紛らすこと。または、空腹を紛らす食べ物のことです。

料亭または婚礼関係の会合でしか飲んだことがない桜湯が最初に出てきました。

 

続いて、お楽しみの「炭火で焼き餅!」です。

私の年齢でも、こういうのは少年時代に母の実家で体験したことが辛うじてあるぐらいです。

 

炭火の遠赤外線で餅をじっくり焼きます。炭火の遠赤外線はガスの火力の4倍もあるそうです。

 

餅が上手く焼けてきました。実は、平野屋の女将さんに餅を焼いてもらっています。私は『不器用ですから』。

 

餅は、これもまた懐かしい「砂糖醤油」をつけながらいただきます。餅に「砂糖醤油」をつけて食べるのは少年時代以来のことです。(私自身は『餅は醤油だけ派』です)
餅の内部の焼け具合も、炭火焼きのため最良な焼け具合でした。

右側は平野屋さん特製の「大根炊き」です。プロが作る「大根炊き」ですので食感も抜群でした。

 

「虫やしない」コースの最後の品です。薄茶(お薄)と平野屋さんの名物の「志んこ団子」です。「志んこ団子」は米粉を「おくどさん(京ことばで竈のこと)」で蒸したものです。この「志んこ団子」には、きな粉と黒糖がまぶしてあります。これも美味しかったです。

 

冬場は、「一服」の客でも玄関に近い部屋に入れてもらうことができます。

 

平野屋さんの玄関です。

 

玄関側の部屋と奥の部屋(料理を食べに来た客の座敷)の間の廊下です。「必殺仕事人」が出てきそうな感じです。

 

電気も使っていますが、照明も控え目で江戸時代の香りがします。旧東海道赤坂宿の大橋屋さんを思い出しました。

 

玄関を上がった正面の飾りです。

 

天井の傘のようなものは、京都ゑびす神社だけの縁起物の「人気大よせ(人気傘とも言います)」です。この「人気大(おお)よせ」は、商家が「商売繫盛」のために店に飾っておくものです。傘の中の紙人形の数は、商売開始当初は少ない数にしておき、店が繫盛してきたら紙人形を増やしていくものだということです。

 

【参考画像】

建仁寺の鎮守である京都ゑびす神社(大和大路通四条下ル)です。画像は1月恒例の京都ゑびすの様子です。

この辺りは花街の宮川町の隣接地であるとともに、勤務先の同僚のT氏の出身地の近くでもあります。T氏は新道小学校(統合のため廃校)の卒業生です。

 

満足度の高い平野屋さんでした。

 

一の鳥居付近の道路橋の上から京都市街の中心部を眺めました。遠くに京都タワーが見えていました。