第28日 私有の論理

 

生物は生きるために食餌を取っています。食餌を確保し、又、保管・保存をすることもあります。人類もそうした生態を引き継いでいます。

原始、人類は小集団で共同体生活をしていました。漠然とした私有で、生活私有のみでした。(生活私有=通常の生活で必要とされるもの。住まいや衣服、各種用具等の個人的に占有できるもの)

狩猟から農耕、人口の増加。集団の大規模化と分裂。生活圏の拡大による競合の発生。

大集団における指導者の特権確保と支配者化。支配者の生活私有の欲望的拡大と、共有的資産の特権的占有の宣言による私有権の設定。

私有権とは、漠然とした生活私有では対応できない量の獲得物(個人的開拓地・収穫物・戦利品等)に対して、保全管理上の個人所有を排他的明示したものです。

私有の欲望的拡大は、人間の本能の生理欲(食欲、性欲)と付加欲(付加価値欲)を効果的に刺激して、付加欲の一つ、勝利感情欲を活性化させました。勝利は精神的にも物質的にも、満足感、充足感、達成感等もたらします。(生きる糧ともいえます)

勝利感情欲と連動した闘争本能、その帰結である戦争は、多くの現代人つまり戦争人(第16日参照)にとって大きな魅力(潜在的本能)です。

私有欲は、抑制(理性的制御)が無い限り、暴力(武力、戦争)をもって他を睥睨し膨張・集約し国家(王国)という私有領土を築きました。更に、国家間の抗争により、より強大な国が生まれました。又、王という権力者に代わり、商人が莫大な財力を獲得し、支配権は王から商人(財閥、財団等)に移っていきます。

一握りの支配者層(特権階級)にとって、圧倒的多数の大衆の富(私有資産)の過小に対する不満は常に脅威です。その効果的対応は、富の過小を感じさせない事です。

現実の不平等を無視した形だけ自由平等をうたった法律を制定。贈収賄的慣行、交際・接待、天下り等癒着的慣習の継続。一部の善行やボランティアをピックアップして過大に報道し、幸せ感を世間にアピール。体制側に批判的な言動や行動は極力報道させないで平和社会を喧伝。軍人や警察官等体制側官憲を正義的賛美した映画やドラマを大量に制作し法的暴力(違法的職権乱用を含む)の行使を社会に馴染ませる。

また、大衆の眼が大量資産の個人私有化疑問に向けさせないように、見た目や上辺だけで判断する非思考・直情型のレベル(原始本能)の意識に抑えておく必要が有ります。そのため日常生活における、潜在的不満や不平のはけ口として悪の仮想敵役(個人や組織、敵性国)をつくります。その対象に、感情的な誹謗中傷・無責任な雑言を官吏・著名人・メディアが並びたて、大衆の差別感、優越感、憎悪感を煽ります。それが、大衆の政治に対する安心感の植え付けになるのです。

世界の私有化は、今後、衰えることはありません。支配階層(自由主義国の特権階級)は、負ける要素が有りません。(もし、負けるとすれば、支配階層内の権力闘争による人類壊滅か、地球の大変動によるものです)