新「わたしの愛聴盤/曲」 その8『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)(映画DVD)』 | 楽逍遥の友@鎌倉・湘南

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ふれあう人たちのこころとからだと生活を尊びたい。
プロフィールのわたしの画像は、中国人の親友が作ってくれた“楽逍遥”の印章。カバー画像はネパールでヘリに乗ったときに撮影。

このDVDのジャンルはクラッシックでなく、ラテン音楽(キューバ)である。内容が気に入っていて、視聴することが多い。旧「私の愛聴盤」で選んでいるが、新「愛聴盤/曲」でも、そっくり選定対象に引き継ぐ。記事内容も非常に楽しいものなので、ほとんど変えずに載せることにした。

 

愛聴盤となったDVD

発売日:2012年11月30日

現在新品、中古品ともに通販等で購入可能(Blu-rayもあり)

(2008年1月に発売されたものと同内容)

1.音楽集団としてのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブについての説明

(1)結成のきっかけ

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(Buena Vista Social Club、BVSC)は、アメリカのスライド・ギターの名手ライ・クーダーがキューバに旅行した際、それまでキューバ国外にはほとんど知られていなかったキューバ音楽の老ミュージシャンとセッションをしたことがきっかけとなって結成したバンド。

(注)「ブエナ・ビスタ」とはスペイン語で「絶景」を意味し、“Buena Vista Social Club”はもともとは、1940年代のキューバに実在した会員制音楽クラブのこと。

〇作ったアルバムのがグラミー賞を受賞、音楽ドキュメンタリー映画が作成される

クーダーがキューバの古老たちと1997年に創り上げたアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、世界中で100万枚以上のヒットをとばし、グラミー賞を受賞した。1999年にクーダーは友人のヴィム・ヴェンダース監督と組んでキューバを訪れ、同名の音楽ドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を創った(独、米、仏、キューバの共同制作作品)。(日本では2000年に公開)

この映画にはワールドツアーの模様(冒頭アムステルダム カレ劇場での名高いコンサート、最後に輝かしく盛り上がり切ったカーネギーホールでの歴史的コンサート、そしてはじめて来た米国のマジソン・スクエア・ガーデンで子どものようにはしゃぐBVSCのメンバーたちの映像が収録されている。それ以外はほとんどキューバ国内での撮影・収録である。

(2)音楽ドキュメンタリー映画の作り方の特徴

映画の中でクーダとヴェンダースー監督は、敬愛する古老のミュージシャンに取材し、ミュージシャンのパーソナリティを浮き彫りにさせつつ、ハバナのノスタルジー溢れる街並みの写真をカットで入れている。それによって彼らの音楽を生み出しているのが、個々の秀でた才能だけでなく、彼らを育んだ風土であることがよく分かる。そのような映画の創り方がとても素晴らしく、視ていて本当に楽しい。

                                        映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のDVD(日本語)

              のパッケージに載っているコンサートの写真とキャストの名前

 

2.愛聴盤の元になる映画をはじめて視聴したときのわたしの感想

わたしは、愛聴盤のDVDの原形になる音楽ドキュメンタリー映画を、NHKBSプレミアムで放映された「プレミアムシネマ」で、2017年10月14日にはじめて視た。

この番組を視なかったら、このDVDが愛聴盤になることはなかった。それほど鮮烈な視聴の経験だった。

わたしはラテン音楽は聴くし、クラッシック音楽以外では好きなジャンルである。

でも普段は、聴き流す以上に深くラテン音楽の世界に入り込むことはほとんどない。

それが今回は違った。まず、聴くのがとても気持よくそして自分でも驚くほど楽しかった。それは、演奏者たちの演奏と歌唱のレベルが非常に高く、かつその様子が実に幸福そうに見えたからである。なんでこんないい声(豊かで伸びがある)が出るのだろう、ギター、ピアノなどの演奏がどうしてこんなに巧みにできるのだろう、・・・と驚いた。個々の人生を奏でるような音、声!辛酸を舐めた生き様の中で発酵した豊かな音楽の香りなんだと思った。表情がまた実によかった。演奏の技術も演奏する姿と表情も年齢を感じさせない。音楽ができる喜びに満ち、心身のエネルギーを画面のこちら側にまで届けてくれる。私は、これはDVDを愛聴することになるなとすぐに思った。

 

3.音楽ドキュメント映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の素晴らしさのエッセンスを示す動画(Youtube)

(1)Buena Vista Social Club - Chan Chan at Carnegie Hall, New York

https://www.youtube.com/watch?v=sHjUgu9ZxrU

前半は、映画の中の印象的シーン。いいショットがちりばめられていて映画全体の素晴らしさを極めて短く編集したようなもの。後半では、映画のラストで大盛り上がりとなったカーネギーホールでの歴史的コンサートの感動を、演奏者、観客と一体になったような気分で味わえる。

 

(2)Buena Vista Social Club - 'Chan Chan' at Carnegie Hall (Official HD Video)

https://www.youtube.com/watch?v=UXwLBS3yUkA

メンバーの夢だったカーネギーホールでのコンサートというタイトルになっている。(1)よりも時間は短いが非常にインパクトのある動画だ。演奏している曲のエッセンス中心にまとめられている。どういう曲をどうい感じのミュージシャンが演奏しているのかに集中して視られるよい動画だ。 

'Chan Chan'という名曲はたっぷり味わえる。

(注)“Chan Chan(チャン・チャン)”は、先述した1997年発表の『Buena Vista Social Club』の1曲目を飾る曲で、コンパイ・セグンド(Compay Segundo、'97年当時89歳)が1987年に作曲した、キューバ伝統の音楽SON(ソン)のジャンルの曲。Chan Chanは20世紀はじめにヒットしたキューバン・フォルクローレから取られている。

◎是非(1)と(2)を併せて視聴することをお勧めします。

 

4.「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の活動と演奏者たち

(1)主な演奏メンバー

コンパイ・セグンドとライ・クーダー

                      

ライ・クーダーとヨアキム・クーダー(息子)  

                      オートバイに乗ってまちの中を走る

                        もちろんステージでも得意のギターを弾く

 

イブライム・フェレールと

オマーラ・ポルトゥオンド 

イブライム・フェレール

エリアデス・オチュア

 ルベーン・ゴンザレス(ピアノ)  

 

(2)イブライム・フェレールとオマーラ・ポルトゥオンドが歌う“キサス,キサス”

pianist: Roberto Foncera

https://www.youtube.com/watch?v=2FPBKhP6uHU

 

(3)「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の後編

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、グループとしてのステージ活動の終了を決めた後の2016年に、アディオス(さよなら)”世界ツアーを決行した。

そして2017年には、1999年制作の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(本愛聴盤の原形映画)の続編となる映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス★(ルーシー・ウォーカー監督)が公開された。

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス★」予告編

https://gaga.ne.jp/buenavista-adios