1年前に二期の感想を書いていましたが、今回は劇場版のfineの感想・レビューです。
結論から言って☆3つの作品です。(このブログの評価は「どれだけ泣けるか?」であり、映画そのものの評価ではありません)
とてもよくできた作品と思います。中盤思わず泣けてきます。
この作品の特徴はヒロインの加藤恵にあるといってもいいでしょう。1期2期で主体性のない、目立たない、平凡なヒロインが、「なんだかな~」とつぶやきながら、天才たちの間で飄々と過ごすギャップがおもしろおかしい作品へと仕上げていきます。
この加藤恵がいなかったら、全然面白くない平凡な作品になっていたところでした。
今回の3作目の劇場版はこの加藤恵がいよいよヒロインにのし上がるのですが、やっぱり「なんだかなあ」になってしまう作品です。
以下、ネタバレ篇です
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「アニメヒロイン史上最もめんどくさく、あきらめの悪いヒロイン」
言ってることと思ってることがほとんどあっていない恵の発言。これが超めんどくさく感じられる一方、「普通なら『なんだかなあ』っていってあきらめるとこだよ」と言っておきながら「なんだかなあ」といって倫也と付き合い続けるあきらめのわるい恵。
何事にも執着しない、ステレス性が高いといいつつ、嫉妬深く、そのくせそれを表に出さない(つもりの)メインヒロイン。
作中でもいたるところに出てきます。
icy tailの打ち上げで、英梨々が倫也と詩羽先輩がキスしたことを暴露しても
「あんまり、英梨々をからかうのはやめてあげたらどうですか?一緒に頑張ってる仲間じゃないですか」
とにっこりほほ笑む。
しかし、あとあと、ねちねちとことあるごとに倫也を責める。
詩羽先輩と英梨々を助けに大阪に行くときも、恵はめんどくささを発揮する。恵は智也が行かざるを得ないことを理解している。
「学校いかないんだ」
「うん」
「大阪いくんだ」
「うん」
「英梨々と霞ヶ丘先輩と一緒にゲーム作るんだ」
「俺が行かないとフィールズ・クロニクルはただのいいゲームになっちまうんだ」
「いいゲームならいいじゃない」
「本当なら大傑作になるはずなんだ。約束された神ゲーなんだ」
「倫也君ががんばればその神ゲーってやつになるの?」
「そんなのわかるわけない。英梨々は詩羽先輩は俺が必要だって言ってくれたんだ」
「それが智也君がやりたいことなんだ。それが、私達のゲーム作りを投げ出してまでやりたいことなんだ」
「智也君言ったよね。全力で神ゲー作るって言ったよね」
「うん」
「私たちで作るっていったんだよね」
「けど、フィールズ・クロニクル13は英梨々と詩羽先輩の今までで一番のチャンスでハレの舞台で
「でも、私たちのゲームは私たちのチャンスだよね。1年間一生懸命頑張ったたどり着いた晴れ舞台だよね」
「ねえ、私はどうしたらいいのかな。わがままな3次元の女の子みたいにお怒って泣いて智也君を困らせたほうがいいのかな、それとも2次元のヒロインみたいに笑って送り出したほうがいいのかな?」
「ごめんね智也君」
「私、あなたのメインヒロインになれない」
この一連のセリフの強烈な矛盾感がたまらないですね。本音は「行かないでほしい、でもいかないといけない。だから待ってる」なんだけど決して素直に出さずに、反対の言葉を言うめんどくささ。「事情はわかってるけど、なんで私に対してもっと優しく寄り添ってくれないの?」3次元の彼女らしい展開になります。
さらに羽島家での会話がもう真逆になります。
「あんな人いなくてもどうでもいいって証明してあげる」
「ぐちじゃないから、正当な怒りだから」
「私が起こっているのは代表としてサークルに責任があるんじゃないかって」
「付き合っていない。そもそも私と智也君は…」
「あんなどうでもいい男のことであせる必要なんてないんだけれど」
「ほおっておいてくれないかな。私が智也君のことどう思っていようが霞ヶ丘先輩には関係ないんじゃないかな」
詩羽先輩に言わせれば
「本当の彼女は黒くて強欲でめんどくさい嫌な女の子」
じゃあ、なぜメインヒロインでいられるのか?
それは、パートナーと一緒に夢を見続けられる価値観の一緒な女の子だから。あきらめが悪く最後まで一緒にいようとする女の子だから。
turetearsでいえば、乃絵のように価値観を一緒にした比呂美なのでメインヒロイン性が十分なのです。
「許せないけど、そんなの知らないよ」
最高にめんどくさいメインヒロインの完成です。