心の時代
『ゾイドジェネシス』はゾイドを物扱いしているからけしからん、そういう意見をよく目にする。確かに、「無印」、『/0』、『フューザーズ』と、ゾイドとパイロットの心の絆を執拗に描いてきた。その設定、いわば伝統を外してくる『ジェネシス』は認められない、と。だがしかし待ってほしい。ゾイドとパイロットの絆を強調するようになったのは、99年の復活以降の話ではないか?
旧バトストでは、ゾイドの扱いはえらくドライだ。ゾイドは兵器、工業生産物なのである。いわゆる「共通コックピット」はそれを象徴する意匠だったとも言えるだろう。パイロットもノンポリで機体を乗り換えている。話はあくまでも人間と人間のやりとりの中で形作られていた。
それがなぜ、ゾイドが休眠を経て復活したときに、アニメはおろかバトストまで「心の絆」を描くようになったのか。直接の要因は、上山道郎氏によって創作されたキャラクター、ジークの存在が大きいように思う。氏は感情移入しやすいように人間サイズのゾイドを創ったと言ったように記憶している。この漫画・アニメのキャラクターに引きずられてか、新世紀バトストもクレイジー・アーサーとブレードライガー、リッツとジェノブレイカーの心を話の中心に持ってきた。いわゆる「オーガノイド」も「インターフェース」として登場している点も興味深い。なぜなら、まさにジークらはユーザーがゾイドに感情移入するための「インターフェース」として機能していたからだ。
また、そうなった遠因としては、SF、なかんづく「ロボットアニメ」の文法の変遷、分かりやすく言えば流行に変化があったことが挙げられるように思うのだ。20年前は、パイロットとの精神感応で動くような巨大ロボットは存在しなかった。巨大ロボットとは現在の科学技術の延長にある工業生産物だったのだ。いわば、スーパーカーに近い観念だった。それが時代の「ロボット観」だったのである。
ところが、今日のロボット観はそうではない。「人の形をした物」が「なぜ人の形をしているのか」という哲学込みで語られる時代なのだ。ただし、明日のロボットがどう語られるかは保証の限りではない。
だから、「心の絆」も単にファッションに過ぎない問題なのだ。私は旧ゾイドの工業生産物然としたところも好きだし、新世紀ゾイドのウェットな部分も好きである。自らドグマを打ち立てて楽しみを制限するよりは、ノンポリになって楽しむのもいいのではないか。好きの度合いに差もあるとして。
遠き日のイカ型
性懲りもなく、弱小漫画誌「コミックバンチ」を買っている。第六号本日発売也。
それで、看板漫画の『コンシェルジュ』を読んでいると、「凧」は関東方言であるということが書かれていた。全国区の言葉では「イカノボリ」と言ったそうである。その証拠に、明治時代の国語辞典には「イカノボリ」の項目はあっても「タコ」は無いのだそうだ。なるほどねぇ。
「そういえば、あのタコもイカの形をしていたっけな……」
祖父が生前、正月に手ずから凧を作ってくれたことを思い出した。なにしろ竹ひごを作るところからだから本格的だ。藪に分け入って伐採した細い竹を割いてひごにし、火であぶって形を作る。組み合わせた竹ひごを紐で縛って骨組みとし、障子紙を貼って完成だ。この凧が、凧とは言ってもイカの形をしていたのだった(調べたところ、「するめてんばた」と称する型らしい)。

そうそう、思い出した思い出した。当時は「ゲイラカイト」が大流行していた。そして、連日流れるゲイラカイトのTVCMを物欲しそうに見ていた私を見て、祖父がこう言ったのだった。
「フン、あんな物は全然揚がんね。俺がもっと良く揚がる凧を作ってやる」
果たして、出来上がったイカタコは大変良く揚がった。最初はゲイラカイトに比べて格好悪いと思っていた私も、これが大変気に入った。風のある日は裏山の空き地で天に舞わせた。風の無い日も、自ら走って凧を揚げた。凧なんてチープな玩具で、凧揚げなんて単純な遊びだ。だが、無上の楽しさがあった。それは多分、凧には人類を未来永劫縛り続ける、重力の呪いを打ち消す魔法があるからだ。
だが、この教えは失伝となった。私に孫ができても、あの喜びを伝えてやることはできない。火と水と鋼を用いて風に乗るものを作る技術を、私は受け継ぐことがなかった。私はせいぜいこんなものを作ってやれるばかりだろう。
おそらく、凧を超える感動を与えることは難しいだろう。悲しいが、それが工業生産物の限界だ。そして、原初的な力強さを持った文化を次々に失っていく、我々の世界の現実だ。いや、もしかするとゾイドですら失われる側の文化に入るようになるのかもしれない。生産が、生活から全く隔絶された世界が来るのかもしれない。そう考えるのは、感傷的な懐古主義に過ぎないのだろうか。
WHF限定? 幻のゾイド
さて、いよいよ十日後に迫った次世代ワールドホビーフェア。トミーブースの物販も福袋の内容が気になるところだが、焦点は「先行・限定商品販売会場」での先行販売になる「カスタムブロックス五種セット」だろう。ホビージャパンの情報によれば、五種の内の一つ「ショウリョウバッタ」はWHF限定になるということだ。クソッ、また地方人は置いてけぼりか? まぁ、仮に仙台で開催しても人の集まるところには出向きたくないが。
ちなみに、ショウリョウバッタの「ショウリョウ」とは「精霊」のことだ。いかにも幻のゾイドにふさわしいモチーフではある。
強気の男
久々にヤフオクに出品されているゾイドをチェックしてみた。家計が大ピンチなので冷やかしだが。現在、骨ゾイドがまとまって出品されているだけに、軍資金がないことが悔やまれる。
さて、ゾイドカテゴリーの総出品数は850点と相変わらず盛況なのだが、実は取り引き自体は活発とは言えないようだ。ゾイダーが本当に欲しがるアイテムは限られているのに、需要のないゾイドがやたらめったら出品されているということだ。
需要のあるゾイドとは、捨て値の新品、あるいは適価の旧ゾイドだ。これが実にシビアになっている。ハヤテ、ムゲンなんて開始価格は軒並み千円以下だし、落札価格相場も半額以下のようだ。やはりジェネシスは商売として厳しかったのだなぁ、と実感できる。
これがバトルブロックスともなると、500円でも買い手が付かない。なおのことゾイドギアは売れないわけだが、それでも1,280円での出品があった。はした金だが、これは極めて強気の出品と言っていいだろう。
旧ゾイドも厳しい状況だ。旧ゴルヘックスがいくつか開始一万円で出品されていたが、入札がない。かつては強気の一万円スタートでも買い手が付いたと思うのだが、不評のカラーとはいえ再販があったため相場が下がってしまったのだろう。現行ゴルヘックスなんて売れ残りゾイドの代名詞なわけだし。
明らかに強気が過ぎる出品として、イビルペガサス開始七万円があった。ゾイド全体の相場が下がっている中で、最盛期相場の倍額では売れないだろう。いかにイビルペガサスが格好良いとはいえ。
だが、それらを上回る究極の強気男が存在した!
http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f36965065
こ、コイツは凄い。剛胆にもほどがあるぜ。