それだけで良かった Ⅴ急いで家に帰る。 顔がにやける。 やった!言ってくれた。 それだけで良かった。 それだけで十分だった。たとえ架空でも。 夢見心地のまま、借りてきた映画を再生した。 映画の内容が頭に入ってこない。 それどころか、 見たことないシーンばかりのような気がする。 「あれ?」 あきらかに違う映画だ。 停止ボタンを押し、映画のタイトルを確認してみた。 「僕の初恋をキミに捧ぐ」 映画のタイトルで告白するとは、意気地のない奴だ。 顔をにやつかせながら、自分の事を棚にあげた。