笑顔を見せて Ⅴ | たった5ページのラブストーリー

たった5ページのラブストーリー

恋に悩んで次の一歩を踏み出せないあなたへ贈るショートストーリー

どうするか迷ったが、話しかけてみた。


「久し振り」


こくりと頷く。いつもの様に固まったまま。


よく分からないので、そのまま自転車に鍵をさして

行こうとすると、


「ありがとう・・・」

目をそらしながら呟いた。


初めて会話してくれたなぁと思いながら、

ある事に気がついた。


上の歯に銀色の矯正器具がチラッと見えたのだ。


すべての考えがひっくり返った。自転車の様に。

笑わないのは恥ずかしかったからなのか。

他の人には平気だけど、僕に見られるのは恥ずかしい。

つまり・・・


「一緒に帰ろうか」


その子は口を閉じたまま少し笑顔になり、こくりと頷いた。