どうするか迷ったが、話しかけてみた。
「久し振り」
こくりと頷く。いつもの様に固まったまま。
よく分からないので、そのまま自転車に鍵をさして
行こうとすると、
「ありがとう・・・」
目をそらしながら呟いた。
初めて会話してくれたなぁと思いながら、
ある事に気がついた。
上の歯に銀色の矯正器具がチラッと見えたのだ。
すべての考えがひっくり返った。自転車の様に。
笑わないのは恥ずかしかったからなのか。
他の人には平気だけど、僕に見られるのは恥ずかしい。
つまり・・・
「一緒に帰ろうか」
その子は口を閉じたまま少し笑顔になり、こくりと頷いた。