織部釉の被膜除去(シブ抜き)をしました。
織部焼は個性的な色で綺麗な緑色の器です。400年前から織部焼は、魯山人など多くの日本人を魅了し続けてきました。
織部焼は焼き上がった時は表面に酸化被膜がかかって、くもった感じになっています。透明感のない微妙な緑です。
透明感のある緑色にするために、「シブ抜き」という方法をします。
昔はトチノキのドングリやクヌギの笠の部分を集めて、水につけておいた汁を使って「トチシブ抜き」をしていました。そこから陶芸で「シブ抜き」と呼ばれるようになったのだと思います。
今ではそのようなことをしなくても、日常のもので簡単にシブ抜きができます。今回クエン酸を使って、シブ抜きをします。
100均で買ったクエン酸です。
クエン酸を溶かした水にしばらく器を浸しておきます。
その後、水で流しながら器をふき取ると被膜(曇った感じ)が除去されて、透明感のある綺麗な緑色が現れます。
織部焼の制作時は、綺麗な緑に変わるこの作業の瞬間が、気持ちのいい時間です。現れた美しい緑色にしばらく見とれる時があります。また光の当たり具合によって、織部釉が見せる玉虫色が綺麗です。
シブ抜きをする前(左)と、シブ抜きした後(右)の器です。
見比べると、その違いがよくわかります。
織部焼のような陶器は、海外ではあまり見かけません。織部焼は、自然豊かな地に住んできた日本人だからこそ、魅力に感じる焼き物だと思います。