※バックデートで投稿しています。
今年は長女の大学受験でした。
ウチには子供部屋は1部屋のみ。
この1部屋に、子供(といっても、もう全員18歳以上の成人だけど)3人のベッドが並べた状態で、基本寝るだけの部屋。
寝る以外の活動は、リビングルーム。
実質ここが子供たちのスペース。逆に夫も私もここを使うことはない。
ということで、勉強もリビング、遊びもリビング、ダラダラするのもリビング。
子供たち3人で共有してる。
もちろん、大学受験の長女の受験勉強もリビング。
ところが、、、
その受験勉強を妨げるのがテルコさん。
正確には、テルコさんからの呼び出しブザー。
応答パネルがリビングダイニングにあるのよ。
階段を上がれなくなったテルコさん、何か用事があると呼び出しブザーを押す。
病院のナースコールと基本同じ。
これがね、昼夜関係なく、めちゃくちゃ鳴るようになった。
1月に入ったころから、どんどん頻度が増えていった。
本当に用事があるならまだいいが、昼も夜もわからなくなって、認知が進んで来たりもすると、、
「ねぇ、今、昼? 夜?」
「ねぇ、今、何時?」
「ねぇ、明日は何曜日?」
時計とカレンダー代わり。
「今は●時だよ」と答えても、その1分後に呼び出しブザー。
「今日は何日?」
「今日は●日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。
「で、明日は何曜日?」
「明日は●曜日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。
「で、今日はは何日だっけ?」
「さっきも言ったよね、今日は●日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。
「で、明日は何曜日?」
そして、エンドレスループ。
こうなると、もう途中からガン無視しかない。
ブザーが鳴っても、答えずにブチッと切る。
仕方ない。
受験勉強に集中したいのに、昼夜問わずにこのブザー攻撃。
しかも、その内容は、時計&カレンダー代わり。
テルコさん、週3回デイに行くだけだし、それもヘルパーさんが来て支度から送り出しまで全部してくれる。
今日が何曜日だとか、明日はデイがあるかどうかとか、だから何時に起きなきゃなど、全く不要。
なのに、なぜだか「昼?夜?」「何時?」「何日?」「何曜日?」を知りたがる。
なんのため??
わからん。
ただでさえセンシティブな受験期間、テルコさんのブザー攻撃が加わり、長女は疲弊。
滅多にネガティブなことを言わない彼女が、さすがに「ブザーがうるさくて勉強に集中できない」と打ち明けるとは、よほど我慢していたんだろうなぁ。
そして、テルコさんのブザー攻撃の被害はこれだけではない。
大学生の次男も、長女と同じくリビングで過ごす時間が多い。
そして、何かと「ちょっと来て〜」とご指名で1階に呼び出されるのが次男。
1階に行ったところで、
「今日は何日?」的な無限ループ質問やら、
「あのね、ベッドに紐で縛られて・・・こんなことをされて・・・」的な過去の話(被害妄想)やら、
その他・・・もうわけがわからない意味不明な話(大抵は愚痴や文句)を一方的に聞かされ、、、
ま、ここまではいいとして(よくないけど)、ある日、
「あれ?? ブザー、鳴ってる? 鳴ってない?
なんだかさ、あまりにしょっちゅうブザーが鳴るから、いつもブザーが聞こえるような気がする。
本当に鳴っているのか、鳴っているように錯覚しているのか、もうわからない。
ノイローゼといったらオーバーだけどさ、なんか常にブザーが頭の中で響いておかしい感じ。」
と言い出した。
幻聴、、、っていうのだろうか。
これはまずいなぁ。
なにしろ、この呼び出しブザー、音が大きい。しかも「プーッ!! プーッ!! プーッ!!」と警戒を促すような音なのだ。
逃げなきゃいけない、急がなくちゃいけない、危険が迫っている、そんな追い込まれる感覚に陥る。
例えるなら、携帯の地震アラート音な感じ。
あれを、1日何回も、時には1分おきに聞かされたら、頭もおかしくなる。
せめて音量だけでもどうにかしたい。
どこをさがしても、音量調整できるところがない。
どうせなら電源を切りたいが、パネルが壁に埋め込まれているので、そもそも電源というものがない。
おそらく、中の電線を物理的に切断するしかないのだろう。
まずは、このことをケアマネさんに相談。
「それはまずいですね。
もう自宅での介護は限界になってきていますね。
今の状態を見ても、これから急激に落ちていくと思います。
老健の入所を考えたほうがいいと思います。」
とのこと。
老健入所に向けて動いていただくことになりました。
とはいえ、すぐに入所できるわけではなく、まずは受け入れ可能な施設を探していただき、かかりつけ医の診断をいただき、審査にかけていただき・・・・と、それなりにある。
そうこうしてくうち・・・
ついに、私までブザー音の幻聴症状が。
もうね、いつも鳴っている気がするの。
どんなに耳を澄ませても、本当なのかどうかわからない。
同じく幻聴の次男と顔を見合わせて
「え? 鳴ってる?」
「どうだろう、、、鳴ってるような、、、」
「うん、どっちだろう??」
どこにいても、ブザー音に追いかけられる。
そして、ついに、、、、
ブザー音がならないようにしました。
音量調節も、電源もない。
だったら、、、
応答中の状態にしてしまえばいい!!
呼び出しブザーの機能って、トランシーバーのように、「聞くだけ」「話すだけ」の一方しか一度にできない。
話すときは、話す用のボタンを押しながら話すんだけど、ボタンから手を離したら自動的に切れる。
つまり、話している間はずっとボタンを押し続けなくちゃいけない。
一方、聞くときは、聞く用のボタンを1回押せば状態がキープされる。手を離してもOK。
他のボタンを押すことで、聞く状態を解除できる。
そして、「聞く」か「話す」をしている間は、ブザーを押してもブザー音は鳴らないのです。
つまり、聞く用のボタンを押したままにしておけば、ずっと聞いている状態になり、ブザー音は鳴らない、ということ。
もしかしたら、本当に緊急事態に陥り、呼び出しブザーが必要になるかもしれない。
もちろん、そのリスクはあるんだけど、そんなことを言ったら、家族全員が家を空けていることもよくあるわけだ。
そもそも24時間体制じゃないのだから、そのときはその時で仕方ないと割り切るしかない。
それに、1日1回は薬を渡しに行くのだから、万が一のことが起きたとしても、最悪でも24時間以内に発見できる。
今、幻聴と、それによる精神的なダメージを考慮すれば、ここでブザー音を消すのは妥当だと判断した。
少々の罪悪感はあれど、でも健康被害とのバランスを考えたら、いたしかたない。
ーーー
ブザー音がない日々は、想像以上によい影響をもたらしました。
幻聴もなくなった。
というより、「もうブザーは鳴らない」という安心感がものすごい。
それだけ、「いつ鳴るのか?」と無意識に構えて、精神が緊張状態だったのだ。
つくづく・・・これをもっと早くにやらなかったのか、と後悔。
長女の受験期前にやるべきだった・・・
まぁ、もちろんだけど、その後テルコさんからは
「ブザー押してるのに、全然応答がない!」
とクレームがあった。
「そうだったの? 気づかなかった〜」
「あぁ、みんな出かけてたからね、誰もいなかったよ」
「それ、夜中じゃない? みんな寝てるよ」
などと答えて流す。
ごめん、ごめん。
仕方なーい。