1月、2月は大変だった・・・ | テルコさん 〜天然86歳との付き合い方〜

テルコさん 〜天然86歳との付き合い方〜

娘です。
母の名前はテルコ。
ワタクシ、母のことをどうしても好きになれません。
日々の苦悩を正直に、そしてあっけらかーんとつづります。

※バックデートで投稿しています。

 

 

今年は長女の大学受験でした。

 

ウチには子供部屋は1部屋のみ。

この1部屋に、子供(といっても、もう全員18歳以上の成人だけど)3人のベッドが並べた状態で、基本寝るだけの部屋。

 

寝る以外の活動は、リビングルーム。

実質ここが子供たちのスペース。逆に夫も私もここを使うことはない。

 

ということで、勉強もリビング、遊びもリビング、ダラダラするのもリビング。

子供たち3人で共有してる。

 

 

もちろん、大学受験の長女の受験勉強もリビング。

 

 

 

ところが、、、

 

 

 

その受験勉強を妨げるのがテルコさん。

正確には、テルコさんからの呼び出しブザー。

 

応答パネルがリビングダイニングにあるのよ。

 

 

 

階段を上がれなくなったテルコさん、何か用事があると呼び出しブザーを押す。

病院のナースコールと基本同じ。

 

これがね、昼夜関係なく、めちゃくちゃ鳴るようになった。

1月に入ったころから、どんどん頻度が増えていった。

 

本当に用事があるならまだいいが、昼も夜もわからなくなって、認知が進んで来たりもすると、、

 

 

「ねぇ、今、昼? 夜?」

 

「ねぇ、今、何時?」

 

「ねぇ、明日は何曜日?」

 

 

時計とカレンダー代わり。

 

 

 

「今は●時だよ」と答えても、その1分後に呼び出しブザー。

 

「今日は何日?」

 

 

「今日は●日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。

 

「で、明日は何曜日?」

 

 

「明日は●曜日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。

 

「で、今日はは何日だっけ?」

 

 

「さっきも言ったよね、今日は●日だよ」と答えても、またその1分後に呼び出しブザー。

 

「で、明日は何曜日?」

 

 

そして、エンドレスループ。

 

こうなると、もう途中からガン無視しかない。

ブザーが鳴っても、答えずにブチッと切る。

仕方ない。

 

 

 

受験勉強に集中したいのに、昼夜問わずにこのブザー攻撃。

しかも、その内容は、時計&カレンダー代わり。

 

 

テルコさん、週3回デイに行くだけだし、それもヘルパーさんが来て支度から送り出しまで全部してくれる。

今日が何曜日だとか、明日はデイがあるかどうかとか、だから何時に起きなきゃなど、全く不要。

 

なのに、なぜだか「昼?夜?」「何時?」「何日?」「何曜日?」を知りたがる。

 

なんのため??

 

わからん。

 

 

 

ただでさえセンシティブな受験期間、テルコさんのブザー攻撃が加わり、長女は疲弊。

滅多にネガティブなことを言わない彼女が、さすがに「ブザーがうるさくて勉強に集中できない」と打ち明けるとは、よほど我慢していたんだろうなぁ。

 

 

 

そして、テルコさんのブザー攻撃の被害はこれだけではない。

 

 

大学生の次男も、長女と同じくリビングで過ごす時間が多い。

そして、何かと「ちょっと来て〜」とご指名で1階に呼び出されるのが次男。

 

 

1階に行ったところで、

 

「今日は何日?」的な無限ループ質問やら、

 

「あのね、ベッドに紐で縛られて・・・こんなことをされて・・・」的な過去の話(被害妄想)やら、

 

その他・・・もうわけがわからない意味不明な話(大抵は愚痴や文句)を一方的に聞かされ、、、

 

 

 

ま、ここまではいいとして(よくないけど)、ある日、

 

 

「あれ?? ブザー、鳴ってる? 鳴ってない?

なんだかさ、あまりにしょっちゅうブザーが鳴るから、いつもブザーが聞こえるような気がする。

本当に鳴っているのか、鳴っているように錯覚しているのか、もうわからない。

ノイローゼといったらオーバーだけどさ、なんか常にブザーが頭の中で響いておかしい感じ。」

 

と言い出した。

 

 

幻聴、、、っていうのだろうか。

 

 

これはまずいなぁ。

 

 

 

なにしろ、この呼び出しブザー、音が大きい。しかも「プーッ!! プーッ!! プーッ!!」と警戒を促すような音なのだ。

逃げなきゃいけない、急がなくちゃいけない、危険が迫っている、そんな追い込まれる感覚に陥る。

 

例えるなら、携帯の地震アラート音な感じ。

あれを、1日何回も、時には1分おきに聞かされたら、頭もおかしくなる。

 

 

せめて音量だけでもどうにかしたい。

どこをさがしても、音量調整できるところがない。

 

どうせなら電源を切りたいが、パネルが壁に埋め込まれているので、そもそも電源というものがない。

おそらく、中の電線を物理的に切断するしかないのだろう。

 

 

 

まずは、このことをケアマネさんに相談。

 

「それはまずいですね。

もう自宅での介護は限界になってきていますね。

今の状態を見ても、これから急激に落ちていくと思います。

老健の入所を考えたほうがいいと思います。」

 

とのこと。

 

老健入所に向けて動いていただくことになりました。

 

 

とはいえ、すぐに入所できるわけではなく、まずは受け入れ可能な施設を探していただき、かかりつけ医の診断をいただき、審査にかけていただき・・・・と、それなりにある。

 

 

そうこうしてくうち・・・

 

 

ついに、私までブザー音の幻聴症状が。

 

 

 

もうね、いつも鳴っている気がするの。

どんなに耳を澄ませても、本当なのかどうかわからない。

 

 

同じく幻聴の次男と顔を見合わせて

 

「え? 鳴ってる?」

 

「どうだろう、、、鳴ってるような、、、」

 

「うん、どっちだろう??」

 

 

どこにいても、ブザー音に追いかけられる。

 

 

 

そして、ついに、、、、

 

ブザー音がならないようにしました。

 

 

 

音量調節も、電源もない。

 

だったら、、、

 

応答中の状態にしてしまえばいい!!

 

 

 

呼び出しブザーの機能って、トランシーバーのように、「聞くだけ」「話すだけ」の一方しか一度にできない。

 

話すときは、話す用のボタンを押しながら話すんだけど、ボタンから手を離したら自動的に切れる。

つまり、話している間はずっとボタンを押し続けなくちゃいけない。

 

一方、聞くときは、聞く用のボタンを1回押せば状態がキープされる。手を離してもOK。

他のボタンを押すことで、聞く状態を解除できる。

 

そして、「聞く」か「話す」をしている間は、ブザーを押してもブザー音は鳴らないのです。

 

 

つまり、聞く用のボタンを押したままにしておけば、ずっと聞いている状態になり、ブザー音は鳴らない、ということ。

 

 

 

もしかしたら、本当に緊急事態に陥り、呼び出しブザーが必要になるかもしれない。

 

もちろん、そのリスクはあるんだけど、そんなことを言ったら、家族全員が家を空けていることもよくあるわけだ。

そもそも24時間体制じゃないのだから、そのときはその時で仕方ないと割り切るしかない。

 

それに、1日1回は薬を渡しに行くのだから、万が一のことが起きたとしても、最悪でも24時間以内に発見できる。

 

 

今、幻聴と、それによる精神的なダメージを考慮すれば、ここでブザー音を消すのは妥当だと判断した。

少々の罪悪感はあれど、でも健康被害とのバランスを考えたら、いたしかたない。

 

 

 

ーーー

 

 

ブザー音がない日々は、想像以上によい影響をもたらしました。

 

幻聴もなくなった。

 

というより、「もうブザーは鳴らない」という安心感がものすごい。

 

それだけ、「いつ鳴るのか?」と無意識に構えて、精神が緊張状態だったのだ。

 

 

つくづく・・・これをもっと早くにやらなかったのか、と後悔。

 

長女の受験期前にやるべきだった・・・

 

 

 

まぁ、もちろんだけど、その後テルコさんからは

 

「ブザー押してるのに、全然応答がない!」

 

とクレームがあった。

 

 

「そうだったの? 気づかなかった〜」

 

「あぁ、みんな出かけてたからね、誰もいなかったよ」

 

「それ、夜中じゃない? みんな寝てるよ」

 

などと答えて流す。

 

 

ごめん、ごめん。

仕方なーい。