追憶に生きる老婆達 | 呑気じじいのひとり言

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不思議な時代になっちゃった!

近所の小さな商店街の片隅に、
有志のオーナーが考えたのか、
たたんだ店先の一画に一台のベンチを置き、
 
 
その一坪ほどの空間の周りにL字型の棚をつくり、
 
”自由にお持ち帰りください” 
”また家で眠っている不用の本は是非この棚へ”
 
とあり、ちょっとした憩いの場所になっているところがある。
 
 
其処の棚には200冊以上の本があり、
大抵はかなり古い文庫本や単行本などで、
ボクもそこで、
以前に読んだことはあるが、また再読してみたいという本を持ち帰って、
読後はまた、その場所へ返還しておいた。
 
 
ところが、いつの頃からか、
このベンチに、三人の年寄りの女性(婆さん)が長時間居座るようになり、
互いに耳が遠いのか、声高で話している場面に再三出会うようになった。
 
 
Lの字に置かれた本棚に背を向けて、
まあ、恐らく、ボクみたいな一人暮らしで、 
暇つぶしの楽しみの一つとしてやってきているのかもしれないが。
 
 
彼女たちは、待ち合わせているのかどうかは分からないが、
いつも同じ時間ではなく、それでもボクが出かけていくと、
なぜかタイミング良く会うことが何度もあって、
本を探すボクの耳には、嫌でも話し声が聞こえてくる。
 
 
その内容は、仲間や知人の病院話や、
亡くなった人のこと、昔の思い出話など。
 
 
そこでふと、面白い事に気がついた。
彼女たちの会話の中で、
一人は、うん、うん、とただ返事をするだけ。
 
 
話しに夢中になってる婆さん達の顔をそっと見てみた。
・・・・
大変に申し訳ないが、
彼女らの若い日を想像できない。 
 
     
しかし、この女性達にだって、
当然、華やかな青春時代や、花嫁姿、母親時代があったはず。
 
 
過ぎ行く時間は残酷だな、と。
 
 
恐らくボクより若い方達だろうが、
追憶に生きねばならない年老いた女性達に、
この時間が楽しみなら、 
うるさく感じても,そっとしておこうと。
 
 
 

 


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