昔、テレビの無かった頃は、
ラジオから流れてくる歌手の歌声に聞き惚れて、
その曲を覚えて歌ったもの。
しかし、その歌声の主である彼等、彼女等の顔を見る機会はまずなかった。
実際に歌っているステージを劇場に見に行くとか、
または映画に出ている姿をスクリーン上で確認するとかでしか
分からなかった。
その田舎の町では(今では市だが)、
映画館がひとつと劇場がひとつだけあって、
そこにある日、
『霧島昇』と、もう一人誰か思いだせないが歌手の公演があり見に行った。
1階は椅子席が100程、2階は畳敷きだった。
ボク達はそこで、退屈になると寝転がって見たりしていた。
今思うと嘘みたいな話。
その頃かなり有名だった歌手のどさ回りだったのですネ。
故にその歌手が歳老いて引退していたとしても、
ラジオから若い時の歌声(録音)が流されていれば、
聞く側のこちらとしては、まだ活躍中かと普通に受け止めて聞き入ったもの。
しかし現代は、
テレビ、しかもカラーで4K、8K等と益々鮮明度が上がり、
お顔のシワやメーキャップのあとまで見て取れる。
年を重ねられた歌手が、男女を問わず唄っている姿を見て、
声も寂れていて…。
”昔の名前で出ています”
なんでしょうが、何か憐れを感じさせられて
時は残酷だなと、感じるのはボクだけかな。
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