ちょいと旧聞ですが、書いとかないわけにはいかない。
そう。113番元素ですよ。理研の森田教授のチームが発見した新元素。
まだ正式決定ではありませんが、それが「ニホニウム」になることが、ほぼ決定。
ちなみに正式に名前が決まるのは、一般からの意見公募期間を経たあとなんだそうで、まだ一年くらい先かと。
いうまでもなく「日本」が由来の名前である「ニホニウム」。
宇宙が作った――つまり自然界に存在する――元素は94番のプルトニウムまでです。95番のアメリシウムから100番のフェルミニウムまでは原子炉の中で見つかった(つまり人間が作った)。
そして101番のメンデレビウムからは、加速器という装置で、人間が計画的に作っているんです。もちろんニホニウムも加速器で作られました。
森田教授のチームは、9年の歳月をかけ、のべ500日間も加速器を動かし、なんと、たった「3個」だけ合成できたんです。
それほど新元素を作るのは難しい。一級の実験装置と、一流の頭脳があつまり、さらに大変なお金もかかる。
そんな苦労までして、いったいなんの役に立つんだ?
と、よくいわれるみたいですけど、その質問はナンセンス。そこに山があるから登るんだとしか答えられない。もちろん未来には、なにかの役に立つはずだけど(たとえば陽電子の研究は、いまや医療に欠かせない)、いますぐなにかの役に立つとはいえないのです。
膨大な税金を使って山登りかい!
という批判は世界中にあって、いま新元素の合成に挑戦できるのは、アメリカとロシアの合同チームに、ヨーロッパの合同チーム、そして日本のチームだけなんですよ。その中で結果を残して来たのは欧米だけ……だった。去年までは。ついに日本も結果を残すことができました。
新元素の合成に挑戦できる。それは国として、世界で最高峰の科学水準を持ち、かつ非常に高い知的文明を持っていることに他ならない。
いますぐ役に立たなくても、知的好奇心を追求できる国の民であることは、世界に誇れることだと思います。
ニホニウム。
この名が周期表に存在するというのは、そういうことですよ。
森田教授は、さらにつぎの目標に向かって、加速器を改造しているところです。ニホニウムまでは、コールドフュージョン(冷たい核融合)という方法で作られましたが、つぎの目標である119番は、ホットフュージョン(熱い核融合)でなければ合成できないからです。
119番からは、未知の第8周期に入りますから、まさに前人未踏。日本が第8周期に一番乗りしたら、それこそ名誉です。
さらに126番は原子核が安定する「魔法数」なので、もしかすると、超重い元素の割に、比較的長く存在できるかもしれない。もしその性質を研究できたら、ノーベル賞級の成果。
この分野では、まだまだやるべきことが山盛りです。
がんばっていただきたい!
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