超ひも理論1(次元とはなにか?) | TERUのブログ

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つれづれに

先週のブログのコメントで、「超ひも理論」について説明してくださいというリクエストをいただきましたので、今日から何回かに分けて説明したいと思います。

超ひも理論では、われわれが住むこの世界は、10次元でできているそうなんですよ。でも、10次元なんて言われても……ねえ(苦笑)。サッパリわかりませんよね。

そんなわけで、まず「次元」について考えていきたいのですが、その前にちょこっと書いておかねばならないことがあります。

われわれ人類は、なぜ「物理の理論」を研究するのでしょうか?

答えは人によって様々かもしれませんが、究極的には「この宇宙のすべて」を説明したいからだと思うのです。

われわれの世界(自然界)には、4つの基本的な「力」があると言われています。それは「電磁気力、弱い力、強い力、重力」の4つ。(弱い力と強い力は、素粒子の間に働く力です)

ですが、この宇宙の始まりのときは、たった1つの力しかなくて、そこから4つに分かれたのだろうと考えられています。つまり物理学者は、4つの力をまとめて説明できる究極の理論を追い求めているのです。その候補のひとつが、これから説明しようとしている「超ひも理論」なんですよ。

しかし、この理論を説明するのは、簡単なことではありません。少々お時間をいただいて、先ほど書いたとおり、まずは「次元」からはじめましょう。

読んでいても、なかなか「超ひも理論」の説明が出てこないとヤキモキするかもしれませんが、必ず「超ひも理論」の説明につなげますので、どうか、しばらくお付き合いくださいませ。

さて、次元。これを辞書的な言葉で表すと、「空間や図形の広がり具合や複雑さを表す概念」ってことになるのわけです。「広がり」を「表す」ことのできる「概念」なのです。

そもそも人間は、「空間」の広がりを意識できますから、直感的には原始人だって「次元」を知っていたわけです。とはいえ、それらを「数学」としての学問に昇華したのは、古代ギリシャ人。中でも、図形に関する考察をまとめた、ユークリッド(紀元前300年ごろ)が有名ですよね。ユークリッドは、点、線、面、立体などの定義を定めて、『原論』という書物にまとめました。

つぎに登場するのは、ずーっと時代が新しくなって、『我思うゆえに我あり』のお言葉で有名なデカルトさん。彼は哲学者として有名だけど、とても優れた数学者でもありまして、1637年に公刊した『方法序説』の中で、「座標」という考え方を示しました。

座標。こいつは画期的な概念ですよ。だって、座標の登場で、われわれはやっと、広がりの中にある「位置」を示せるようになったんです。

では、座標(位置)を念頭に置いて、次元を定義してみましょう。

まず「点」。点そのものには大きさがないので、位置もへったくれもないですよね。ですから0次元と考えます。

つぎに「線」。線は、どこかに出発点(基準点)を決めれば、そこから右に1センチ(X=1)とか、左に1センチ(X=-1)という具合に、1つの数値で位置を表せます。ですから、線は1次元と考えましょう。ちなみに曲がった線(曲線)にも同じことが言えますので、曲線も1次元です。

つぎに「面」。面の場合は、「方眼紙」を思い出してもらうのが、一番いいですね。方眼紙に縦の線と横の線(十字線)を引けば、どこかの位置を、横に1センチ(X=1)、縦に1センチ(Y=1)なんて具合に表せます。このように、2つの数値で位置を表せるので、面は2次元としましょう。ちなみに曲面も同じことが言えます。たとえば、地球上のどこかの位置は、緯度と経度で表せますよね。ですから、曲面も2次元です。

つづきまして「立体」。立体の世界は、要するに、われわれが住んでるこの世界です。位置を決めるのは、縦と横だけでは足りません。高さが必要なんです。たとえば、東京タワーの位置を緯度と経度で表すと、「緯度:35度39分30.956秒」、「経度:139度44分43.595秒」になりますけど、あなたが大展望台にいるとすれば、ここに「高さ:120メートル」を加えないと、正確な位置にはなりませんよね。このように、3つの数値で位置を表す立体は、3次元と考えることにしましょう。

これで次元は全部でしょうか?

うん。たぶん、大丈夫でしょう。これでもう「位置」が決められるので、だれかと待ち合わせをする約束も安心ですよね。あなたは、友人と待ち合わせをして、お食事に出かけることが出来ます。

と、思ったら……(NHKのスイエンサーという番組ふうに)

あなたは、待ち合わせの場所で友人と会えませんでした。待てど暮らせど、友人はやってきません。あとで電話して「なんでこなかったんだよー」と文句を言ったら、逆に友人から「そっちこそ、なんでこなかったの!」と怒られました。

そう、あなたは待ち合わせの場所(位置)は決めたけど、時間は決めてなかったんです。

このように、われわれの世界は、時間という、もう一つの軸を加えなければ、ある「物事」を特定することが出来ません。ということは、時間も「次元」に加えて、われわれが住むこの世界は、「4次元」と考えていいのでしょうか?

うーん。それはどうなんでしょう。時間というのは、ほかの次元とはずいぶん、様子が違いますよね。だって、線だったら、右にも左にも行けるじゃないですか。面だったら、右にも左にも、さらに縦方向にも、自由に動けます。立体なら、そこに高さが加わるので、階段を上ったり下りたりも、自由自在。なんなら、ロケットに乗って宇宙空間まで飛んでいったっていい。

ところが……

時間は過去へ戻れません。未来に向かってしか進めない(時間の矢と呼ばれる現象です)。さらに、空間はどの位置も対等ですけど、時間だけは、過去が未来に影響を及ぼします。でも、未来が過去に影響を与えることはありません。ドラえもんがやってきて、過去に影響を与えるのは漫画(SF)の世界だけなのです。

ううむ。時間というのは、次元として扱うには、ちょっと無理があるのかな。

いえいえ、そんなことはありませんぞ! 時間も、立派な「次元」なのです!

と考えたのが、かの有名なアインシュタイン先生でございますが……だいぶ長くなってしまったので、お話の続きは、明日に回しましょう。