まだまだ夏真っ盛り……と言いたくなるほど残暑が厳しゅうございますなあ。
こー暑いと、髪の毛をそろそろ伸ばそうかなんて考える気力もなく、首の後ろなんか、バッサリ刈り上げですよ。頭を洗うのも髪を乾かすのも楽ちん。
で、ここから本題ですが、先日髪を切りに行ったら、となりの席のお客が、頑固そうなオヤジでしてね。見たとこ70の半ばくらいかな。少し耳が遠そう。
が、このオヤジさんが、おしゃべり好きでしてね。美容師さんと、まー、ずっとしゃべってるんですよ。お耳が少々遠いようなので、本人もお相手の美容師さんも、ちょいとデカイ声でしゃべってましてね。聞きたくなくても、バッチリ聞こえちゃうわけです。
その会話の中で、なにがキッカケだったか覚えてませんが、美容師さんがハサミを研ぐ話をはじめました。その会話の一部を、記憶にある限り再現いたしましょう。
「うちはね、社長がハサミを研げないヤツはプロじゃないって考え方で、会社にハサミを研ぐ機械を入れてくれてるんですよ。でも、自分で研ぐと、やっぱり切れが悪い気がしますね」
と美容師さんはおっしゃる。ぼくは、ほー、なるほどねえと聞いていましたら、オヤジがデカイ声で言いました。
「あんたんとこの社長は、間違ってる!」
美容師さん、ちょっとビックリして聞き返します。
「え? なにがですか?」
するってーと、その頑固オヤジ曰く。
「あんたんとこの社長は、寿司屋が自分とこの店で出す魚を、自分で釣れなきゃプロじゃないって言ってんのと同じじゃないか!」
同じじゃねーよ!
と、わたくし心の中で突っ込みを入れましたが、美容師さんは、しばし無言ののち、イエスともノートも言わず、そっと話題を変えました(笑)。
横で聞いてるこっちが、よっぽど、そのオヤジさんに言ってやりたかった。
「だーかーらー、寿司屋だって自分で包丁を研ぐだろうが! プロは自分の使う道具の手入れを怠らないって話なんだよ!」
そのオヤジさん、そのあとも、なにかっちゅーと「それは違う」とか「なになにはダメだ」とか、否定するばっかりなんですよ。とにかく、片っ端から反論しないと気が済まないらしい。
年とるとね、こーいうめんどくさい「頑固さ」が出ちゃうんだよな、男って。
うちの親父もね、なにかっちゅーと「それは違う」、「あれは違う」って言い出して、お袋に「人間素直じゃないと捨てられちゃうわよ!」と叱られてますが。(捨てたら近所迷惑だろうなあ(苦笑))
ぼくも将来、頑固ジジイにならないように気をつけなくちゃいけませんが……TVとか見てると、つい「なに言ってやがんだい」と、江戸弁が出ちゃうのだ(苦笑)。
むー。すでに頑固者予備軍だろうか……
いっそ、すごい頑固ジジイになって、120くらいまで生きてね。死んだ当日に周りから「ああ、やっとくたばってくれたよ、あのクソジジイ」と喜ばれるくらいになれば、それはそれで、粋ってもんなんでしょうけどね(苦笑)。