コレットは~15話の続き妄想的な何か03 | よりみち小部屋。(倉庫)

よりみち小部屋。(倉庫)

『よりみち小部屋。』の作品(一部)倉庫。

『花とゆめ』連載中の「コレットは死ぬことにした」の続き妄想、3話目。

ここからは捏造オンパレードですよ。


以下、興味のない方はバックプリーズ。






「ん……」
コレットが目をあけると、周囲は真っ暗。
ぱちぱちと瞬きしても、目をこすってみても何も見えなかった。
「私……どうしたんだっけ」
コレットはゆっくりと体を起こして自分の身に起こったことを思い出す。

診療を終えて、明日の朝渡す予定の薬を調合していた。
その最中に来客があったので出てみたら、薬をかがされて意識を失った。
ここはどう考えてもアポロンの宮殿ではない。

「つまりはどこかに連れてこられた、ってことよね……」
目を凝らしても、闇が広がるばかりで何も見えない。
ひょっとしてまだ寝ているのではとコレットは自分の頬を思いっきりつねってみる。
「……痛い」
痛いということはこれは現実か、とコレットはため息をつく。
一体ここはどこだろう。何も見えないがせめて自分がどこにいるのかくらいは把握したいと、コレットは体を動かし始めた。

さわさわと周囲の様子を手探りするうち、コレットはどうやら上質の寝台の上に寝かされていたということを理解した。
少し離れたところにあるものをひっつかんでひっぱると、やわらかな肌触りのそれは掛布団らしい。
「何だかすっごいいい布団のような気がする……」
ここで眠るのはさぞかし心地がよいのだろうと思うが、まずは自分がどこに連れてこられたのか把握するのが最優先だ、とコレットは誘惑を振り切る。

続いて手であちこち探りながら少しずつ体をずらしていくと、手が固いものに触れた。どうやら壁のようだ。
「こっちが壁、ってことは……」
コレットは反対方向にずるずると移動する。ほどなく、寝台の上を這わせていた手が宙をさまよったので、ここが寝台の端だということが分かる。
コレットはそろそろと床に足を降ろして立つ。絨毯の柔らかな感触が足の裏に伝わる。
「靴……はないわよね」
近くを足でごそごそと探ってみるが、引っかかるものはない。
そろりそろりと手をかざしながら進み、ようやく触れた壁伝いに移動する。

ひんやりとした石造りの壁を伝いながら、そろそろと進む。
部屋は割と広いようでなかなか角にはたどり着かない。途中に棚のようなものにもぶつかったので、より慎重に進むうちに……
ばさり、とコレットのいるのがいるのとは反対方向で何かがめくれ上がる音がして、部屋の中に光がさす。
(なに……?)
暗闇の中に急に光が差し込んできたために、コレットの目に刺されるかのような痛みが走る。
コレットは思わず目を閉じて、その場にうずくまった。

「あら?いなくなってる?」
何者かが入ってくる気配がする。声からするにコレットが気を失う前に会った女性だと判断できるが、目が痛くて開けられず姿を確かめることができない。
「あ、こんなところにいた」
寝台の方に向かっていた足音が、コレットの方に向かってくる。
うっすらと目をあけたが、女性が入ってきた方向からは光が差しておりまぶしくてそちらを直視できない。
また、逆光のために女性の顔も見えない。
「せっかく招待したのに、いなくなられちゃったら困るじゃない。お楽しみはこれからなのに」
(お、お楽しみって何なの!!私、何されちゃうの?!)
女性がコレットの前に立つ。コレットはぎゅっと目を瞑った。

そして……
(助けて!ハデス様!!)
コレットは体を小さくして心の中で精一杯、一番頼りにしている神の名を呼んだのだった。



「兄上、本当にこいつらに任せて大丈夫なの?」
ゼウスが指さす先には、三匹の子犬。
三匹はめいめい、ふんふんと鼻を鳴らしながら診療所の床をかぎまわっている。
「大丈夫も何も、犬ほど鼻のきくものはいまい」
「いや、そうなんだけどさ……」
ゼウスは心配そうに三匹を見つめる。その視線に気づいたのか、一匹がゼウスに向かって「ワン!」と元気よく吠えた。
「とてもケルベロスだとは思えないんだよね……」
ふうとため息をつくゼウスの隣で、ハデスはケルベロスの動きを見守っていたのだが……

(助けて!ハデス様!!)

「っ……?!」
急にコレットの声が、ハデスの脳内に響く。
「コレット!」
「え?」
「ケルベロス、来い!」
ハデスは急いで外に出る。三匹の子犬たちもすぐに後を追った。
「ま、まって兄上!」
一歩遅れてゼウスが外に出ると、三つの頭を持つ大きな犬がでんと座っていた。
「あ……ケルベロス。もとに戻ったんだね」
「ゼウス」
ゼウスがケルベロスを見上げていると、頭上からハデスの声がした。
「兄上!」
「お前も来るなら乗れ!コレットの元に行く」
「へ?」
ケルベロスの頭の1つが、ぐんっとゼウスに迫る。ゼウスに乗れということだろう。
ゼウスは慌てて飛び乗り、ハデスの元に行く。
「兄上、コレットの居場所が分かったの?」
「ああ。コレットが私を呼んだ。コレットには私の加護がついているからな。危険な目に遭っていなくても、コレットが念じれば少しばかりの加護が働く」
「なるほど……」
「しかし……まさかあそこにいるとは思わなかった。連れ去ったのがあの人ならば、連れ去られた時に加護が働かなかったのにも合点がいく」
「え?あの人、って?兄上、心当たりがあるの?」
「残念だが失念していたことを悔やむレベルだ」
「え?」
それって誰、とゼウスが尋ねるより早く。
「行くぞ、ケルベロス!」
「ガウッ!!!」
ケルベロスが駆け出し、空を一気に駆け上ったのだった。


【04へ続く】




そろそろ展開が予想できてくるころかな?


何かございましたら、拍手の方へどうぞ。

拍手もしくは物申す!