映画『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』 | Ternod Official blog

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哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。

 

オリヴィエ・ダアン監督のフランス映画『シモーヌ フランスで最も愛された政治家』(2021年)をDVDにて鑑賞しました。

フランスで保健相をはじめ大臣をつとめ、欧州議会議長となった政治家シモーヌ・ヴェイユの生涯を描いた作品です。

DVDのパッケージでは、ジスカール・デスタン大統領時代の1974年、保健相をつとめていたシモーヌによる「人工妊娠中絶の合法化」に焦点があてられています。確かにシモーヌの仕事の中で大きな事柄ではあったが、映画では人工妊娠中絶合法化はごく一部で、それ以外の全体像が描かれています。

ユダヤ系フランス人だが世俗主義教育を受けてフランス人としての帰属意識、1944年に逮捕されて家族全員がナチの強制収容所に送られて地獄の体験をした後に帰国したが、「レジスタンスの活躍」が華々しく語られるフランスではユダヤ人収容者は不遇の扱いであったこと。

※フランスのマルクス主義哲学者ルイ・アルチュセールが1980年に発狂して妻を殺害した事件があったが、その背景として戦時中の収容所体験が指摘されている。だが、映画『シモーヌ』を見て感じたことは、収容所体験に加えて、戦後フランス社会で収容所からの生還者が「なかった」かのような扱いであってことも影響しているのではないか、と推測ながら思ったところです。

 

他にも刑務所の収容者の待遇問題、HIV感染者の人権問題、ユーゴスラビア内戦での民族浄化と強制収容所への対応など、現在にもつながる問題を感じさせる内容でした。