貴重な第一歩 | Ternod Official blog

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哲学思想研究、文人画。 反緊縮行動(Anti-Austerity Action)〔生ー政治(Bio-politique)に抵抗する自律労働者(Autonomia Operaia)〕。 ブラック・ミュージックをこよなく愛す。レコード/CD店、古本屋、美術館などで出没することが多いです。

 

3月16日(金)、衆参両院は日銀総裁・副総裁の人事同意を行いました。

その結果、政府が示した黒田東彦総裁の再任、新たに若田部昌澄・早稲田大教授と雨宮正佳・日銀理事の副総裁への起用が決まりました。

 

日銀総裁、副総裁人事に国会同意 緩和路線を維持 

 『毎日新聞』2018年3月16日 20時15分(最終更新 3月16日 22時35分)

 https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/020/110000c

 

とくに今回、日銀副総裁に就任することになった若田部昌澄・早稲田大教授は、リフレ派の第一人者として、積極財政を主張しています。

 

これまでの黒田総裁の下で行われた量的緩和によって生み出された緩和マネーは、日銀当座預金に積み上がったままとなっており、マネタリーベースは増えてもマネーサプライは増えていないという状態にあります。

物価上昇率がきわめて小幅にとどまり、デフレ脱却とはほど遠い状態にあるのは、ひとえに政府の財政出動が伴っていないからです。

むしろ安倍政権が行っている財政政策は緊縮財政であり、アベノミクスとは正反対の財政政策を行っているのですから、これではデフレ脱却ができるはずがありません。

副総裁の権限は限定的としても、量的緩和の継続に加えて、政府に対して財政出動を主張し、マネタリーベースを市場に回すよう働きかけてもらいたいと思います。

そして2019年に予定されている消費税10%増税はデフレ脱却をさらに遠のかせるものとの提言も期待したいところです。

 

さて、今回の日銀総裁・副総裁の人事同意について、野党の対応について述べたいと思います。

反緊縮派の立場からいえば、黒田総裁、若田部副総裁に反対した立憲民主党、民進党、希望の党、共産党はいずれも緊縮財政派としての立場を明確にしたものと判断します。

以前、この問題をめぐっては、主に立憲民主党を対象に同党を批判する記事を書き、ビラに印刷して集会などで配布したりしました。



 

すでにインターネット上では、今回の日銀総裁・副総裁人事に関する情報は広まりつつあり、反緊縮政策を望む人たちの間では立憲民主党に対する失望の声も聞かれています。

もはやビラを配布するまでもありません。

 

今後は他党批判よりも、地道に思想や政策の研究を行いたいと思います。

 

ただ今回、注目すべき出来事がありました。

参議院では自由党は黒田総裁については反対をしましたが、若田部副総裁については賛成をしました。

 

 

【本会議投票結果】

 

日程第1 国家公務員等の任命に関する件「日本銀行総裁(黒田東彦君)」

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/196/196-0316-v002.htm

 

 

日程第1 国家公務員等の任命に関する件「日本銀行副総裁(若田部昌澄君)」

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/196/196-0316-v003.htm

 

 

日程第1 国家公務員等の任命に関する件「日本銀行副総裁(雨宮正佳君)」

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/vote/196/196-0316-v004.htm

 

自由党の共同代表をつとめる山本太郎参議院議員が頑張ったのだと思います。

山本太郎さんは、松尾匡・立命館大学教授のレクチャーを受け、ニューケインジアンの金融政策を軸とする反緊縮政策を掲げています。

 

今回、自由党が若田部副総裁を投じたことは、反緊縮派にとって小さくとも貴重な第一歩だと思います。

 

もうひとつ注目したいことは、社民党の対応です。

社民党は若田部副総裁の人事同意について、賛否どちらにも印がついていません。

棄権したか、あるいは欠席をしたということでしょう。

 

以前なら、社民党も民進党系野党や共産党と同じように、単純に金融緩和反対の立場から若田部副総裁の人事同意にも反対をしたでしょう。だが今回、若田部副総裁については判断を避けたということは、金融緩和を含めた積極財政について、動揺があるのかもしれません。

 

そもそも社民党は、社会主義インターナショナルの加盟政党として、ヨーロッパ諸国の社会民主主義政党を交流があります。当然、ジェレミー・コービンが党首をつとめる英国労働党の反緊縮政策が「人民の量的緩和」を財源とするものであったことは知っているはずです。

また関西の元社民党議員の中には、松尾匡さんの講演会に参加する方もおられます。

他方で、ディープ・エコロジーや反原発を中心とする支持者の中には、「脱成長」を主張する方もいるでしょう。

つまり、社民党が若田部副総裁について賛否の判断を避けたことは、おそらく社民党内部の動揺の可能性があると考えられます。

 

そうした意味で、社民党については、民進党系野党や共産党と同じように「財政均衡重視の緊縮派」とみるのでなく、内部の変化を見て行くことにしたいと思います。

 

【付記】

日銀総裁・副総裁人事で自由党が若田部副総裁の起用に賛成したこと、及び参議院の各議員の賛成・反対のリストは、松尾匡さんより情報提供をいただきました。

ありがとうございます。