よく聞かれるのですが、『宗教的作法が分からないのでどうしたらいいですか?』って。
僧侶としての目線でお答えしますと、宗派ごとにこだわる部分が違う、ということもありますし、同じ宗派でもお寺さんごとに違う(地域性がある)と言わざるをえません。
ですからおてつぎのお寺さんに聞かないと分からないことが多いです。
ただ、よく聞かれる
・線香の折る回数、本数
・座布団の色
・焼香時の作法
・お礼の袋に何と書くのが正式か
などは宗派によりほぼ決まりがあります。
基本的には仏壇のある場所は和室が多く、座布団は利用されると思いますが、向きは必ず覚えていた方がいいと思います。
よく見ると、縫い目のない面が4面中1面だけあります。
それを前にする、というルールがあるみたいですよ。
焼香作法は完全に宗派により決まりがあるので、調べてもらった方が早いです。
お礼の表書きと言えばいいですか?あれも宗派によりルールがあるので、やはり調べてもらうか(ネット上の記載は間違っていることも多々ある、と補足しておきます)、自分の所属しているお寺さんに聞いてもらった方が早いです。
線香の話は完全に宗派により作法、折り方、本数、全て異なるため、お手次のお寺さんに聞かれるのが一番無難です。
1回聞けばメモしておけば済みますからね。
私にとってお寺の世界で一番意味の分からないマナーは、上座、下座を年齢順で決めること、つまり年功序列ではなく、私が仮に30年働いても、今日からの人が年上だとそちらの人の方が偉い、という発想です。
ここだけ見ると、若く始めると損するように見えます。
実際、損していると実感していますが、私は。
長いキャリア(経験)は、自分のために有益であることは間違いないですが、遅咲きの人が「違う」と言えば、それが正解になる世界です。意味が分かりませんね。
過去、ずっとこうだったのに、ということがありますが、鶴の一声で間違いでも正解になる、これがいまだに意味がわかりません。
これがマナーか、と言われると違うかもしれませんが、時代にそぐわない意見が当たり前のようにまかり通る世界でもあります。
またあくまで年齢順なので、一番年下は、常に雑務や重労働が割り振られ、年上だからそういうことは出来ない、やらなくてもいい、という風潮も私が一つ前に「引退」という話題を毎回意識させられる理由です。
どの宗派も全ての人の平等をうたうわりに、裏では完全なパワハラ状態が常習化しているのが、お寺の世界だと言わざるをえませんね。
ということで、これが意味が分からないことです。
また、宗教的な作法は基本的に意味があった始まっていますから、安易に辞めるというのは多くの方々とよくよく相談されることをオススメいたします。
自分本位、勝手な思い込みで、短くしたい、省きたい、やらなくてもいい、ということにはなりません。
私が過去経験した中で一番納得がいかないのは、(早く帰りたいから)葬儀の時間を短くしてほしいので、とばしとばしお経をよんでくれ、という話。
ん?
となりませんか?
お経って、ある意味、小説と同じで起承転結で成り立った物語が書かれています。
とばしとばしって、小説読むときにやります?
絵本でも漫画でもそうですが、とばしとばしよんで何が面白いの?
ってなりますよね?
ですから、こういう意味の分からないことを平気でおっしゃられるかたはよく勉強された方がいい、と言わざるをえません。
特に葬儀は、正式名は、葬儀式です。
つまり、儀式です。
儀式には流れがあります。A⇒B⇒Cという進行が決まっているのに、A⇒Cもしませんし、C⇒A⇒Bということも絶対にしません。
これをよくお考え頂きたいなと思ったことがありました。
ちなみに、葬儀にはこんな名言があります。
葬儀の日時は基本的に生きている私たちが選んだものではないですよね?
つまり、亡くなられた人の最後のわがままでこの日にち、時間が決まったのです。
残されたものはその最後のわがままくらいはきいてあげてほしい
それが私たちの願いでもあります。
そのために数日かけて行われるのが葬儀式なのですから。
ということで、なんでもかんでも時代がどうこうとか、コロナがどうこうとかを理由に略せるものではない!ということは念頭に是非おいてもらいたい、そう思うのであります。
以上、何だか愚痴っぽくなりましたが、変なマナーでした。