ちいさなふるいじどうしゃ
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5月9日(木)に開催した読書会のレポートをお届けしています。
「孫がいたら読ませない。子どもに読ませるにはむごい。大人が読んでもわからない。読ませたくない本ナンバー3くらいには入る。自動車には欠陥があった。山の上に登って待っているように言われても動き出した。物理的な欠陥があって、うまく止めることができなかった。対象は変わるが、待ってと頼まれて嫌だと言って笑う、その同じことの繰り返しだ。そうならざるを得ない欠陥があったと考えるのでなければ読み切れない。ぶつけられたほうも、欠陥を知らないわけではない。だから『危ないじゃないか!』と非難するのではなく、『まっててちょうだい』などと言っている。これは周りも欠陥を知っているからではないか。自動車がバラバラになっても、ざまぁみろという感じではなく、周囲に集まってくる。その視線は、非難しているのではなく、同情を抱いているように見える。許せないのは運転士だ。周りに迷惑をかけたのに、挨拶もなしに行ってしまう」
「冒頭の読み聞かせを子どもたちと一緒に聞いていた。5歳の娘は途中で眠ってしまったので、最後の感想は聞いていないが、序盤では『嫌なやつ!』と怒りながら聞いていた。11歳の娘は『自業自得だよ』と話していた。はねられてしまった動物たちのほうには共感したようで、『お母さんが大好きな猫を抱っこしてる時にはねられて、猫が逃げたらどう思う?』と尋ねられた。子どもたちは2人とも自動車に腹を立てていた」
「自動車はすごくやんちゃだが、道のど真ん中を走っている。ここは自動車の走る道だ。動物たちは待ってと言うけれど、道の真ん中でキャベツを食べるな、とも思う。車が来ておかしくないところでやっている。でも自動車も悪い。自動車が機関車とぶつかって落ちてきた時、牛の時には角が折れただけで消滅したわけではなかったが、自動車は元の形を留めないほどにバラバラになった。部品をもらって、それぞれに役立ててハッピーエンドっぽいが、役に立てようがないものが残って残骸になっているのがなんとも悲しい。突き放していて残酷な感じがする。錆びた部品が野ざらしになっている。なんとなく収まったような感じになっているが、この世の中では事件があっても、10年、20年と経つと、なんとなく収まる。そんなものだと子どもに教えているのではないか」
☆告知☆
『古典の効能』第5回読書会を6月30日(日)に開催します。テーマは「つらいときの乗り越え方」です。詳細・お申し込みはこちらをご参照ください。