『認知症ケアの倫理』第22回読書会レポート④ | 寺田真理子オフィシャルブログ

『認知症ケアの倫理』第22回読書会レポート④

2023年7月13日(木)に開催した『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』の第22回読書会のレポートをお届けしています。

 

第22回読書会レポート①はこちらをご覧ください。

第22回読書会レポート②はこちらをご覧ください。

第22回読書会レポート③はこちらをご覧ください。

 

 

続いて121ページの「4.ナラティヴ(物語)の倫理」から読んでいきました。

 

『九八歳の妊娠』から、タイトルの基になったエピソードを紹介しました。認知症がある九八歳の女性が、自分が妊娠したと思い、産んで育ててもいいかと職員に相談するエピソードです。

 

 

「デイに行っていた時には、その九八歳の女性のように自分の世界を持っている方たちがいて、自分もそれに応じた役をもらって、その世界に一緒に触れさせてもらい、戯れさせてもらっていた。だが、最近はそういう方に会っていない気がする」

 

「特養の介護士だった時に、いつも戦争の前線にいるおじいさんがいた。起床ラッパを鳴らさないと起きなくて、『あなたの係ですよ』と言ったら、自分で口ラッパを吹いていた。歩けないけれども、ベッドの上から指示を出していた。その人に合わせてみんなで『隊長』等と呼んでいたら喜んでいた」

 

「九八歳の妊娠は楽しい話だし、周りの人も楽しい役に入りやすい。後でその人のことを思い出して懐かしむことができるような話だし、そういうふうに歳を取りたいと思う。夫は一時期様子がおかしくなり、半分現実で半分妄想のような状態だった。その時に語った事は、良心の呵責等で、暗いストーリーだった。性格的に暗いのかと思った。暗いストーリーには入れない。生真面目で、こういうものを心の中に秘めていたのかと思った。そういう人だと思っていなかったが、たがが外れて本質が見えたのだと思う。それを見たことが自分にとってトラウマになっている」

 

「たかが外れたときに見えたものが、人間的に品性を疑うようなものであれば悲しいが、生真面目さのようなものも抱えて生きていたとわかるのは、慈しみを感じるようにも思う」

 

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開催日:2023年8月18日(金)14:00~15:30

会場:オンライン

参加費:2,200円(税込)

主催:全国コミュニティライフサポートセンター

詳細・お申し込みはこちらです。

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