『認知症ケアの倫理』第21回読書会レポート② | 寺田真理子オフィシャルブログ

『認知症ケアの倫理』第21回読書会レポート②

2023年6月8日(木)に開催した『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』の第21回読書会のレポートをお届けいたします。

 

第21回読書会レポート①はこちらをご覧ください。

 

 

119ページの事例8「制度的な自由の損失」についてお話を伺いました。

 

「病院や施設では安全に過ごせているかが第一で、危険かもしれないことや、事故の可能性がゼロでないものは許可しない。こういう場合は責任を追及しません、というふうになっている」

 

「介護の専門性を追求したい立場にあるが、現実では、都内で包括支援センターにいて色々な相談を受けていると、特養を望む人は、切羽詰まった状況で相談をしに来る。特養には条件が揃わないと入れない。良い施設かどうかというよりは『とにかく空いているところに一日も早く入れて』という状態だ。入りやすい=下手をすると評判が悪い施設かもしれないが、家族が施設の介護能力を見ていないし求めてもいない。生活の質がかなり崩れた状態で本人は入ってくる。たとえば垂れ流しだったりゴミ屋敷だったりという具合で、本人が生活の質を求めていない。それを施設の職員が手厚く介護することで、一年ほどすると元気になり、生活の質が上がる。何十年も前に失われていた生活の質が、施設に入ったことで向上する例を見てきた。家では目が届かずに生活の質が落ちて、いわば野生にいたのが、施設に入って管理された動物園のようなところで、観察して目が行き届き、生活の質が上がった。仕方ない選択の結果として、栄養状態が改善されて元気になる」

 

「23区内で特養に入るには、かなり重度でないと入れない。昔は特養でも3分の1は歩いている人を見かけたが、今では100%車椅子だ。要介護5とかでないと入れない。昔の特養が今の老健に近いと思う。老健は元気な人が多い。特養に入りたい場合に、老健に入っておいて特養に入れるのを待つ感じだ」

 

 

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