『認知症ケアの倫理』第21回読書会レポート① | 寺田真理子オフィシャルブログ

『認知症ケアの倫理』第21回読書会レポート①

2023年6月8日(木)に『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』の第21回読書会を開催させていただきました。ご参加のみなさま、ありがとうございました。以下にレポートをお届けいたします。

 

 

今回は114ページの「2.生活の質を測定する」から読んでいきました。

 

115ページの事例に関連して、植物状態にある母親と病室の人たちを娘の視点から描いた『植物少女』を紹介しました。

 

 

 

「ケアマネをしている。在宅で生活していた方が施設に移る場合に、生活歴等の情報を提供しているつもりだが、伝えることが難しく、生活の質を維持するのが難しい。事例にあるように、どんな状態でも生活の質を守れるということに感銘を受けた。好きなおやつが十分食べられないとか、補聴器や眼鏡があればできることがあるのに、それが知らない間になくなっていたり、使われなくなっていたりする。食事のことや着る服等、気づいた時に言うようにはしているが……」

 

「おやつのこと等はそういうことに意識を向けてくれる職員でないと難しいのかもしれないが、それに対して補聴器や眼鏡はもっと生活の基本に関わることではないかと思う。それが使われていないというのは、本人もそこに気づかなかったりするのかもしれない。それをケアマネが指摘してくれることで改善できる部分もあると思うし、そういう存在はありがたいと思う」

 

「昔ながらの特養の介護職をしている。介護福祉士の専門性はなんだろうと考えた時に、生活環境を整えることではないかと思った。だが、生活ってなんだろうと思う。週に一回外食するのを楽しみにしているとか、そういうことであったり、収納等も入ってくるのだと思う。質の保証をするのは難しく、結論は出ない。普通の暮らしをしてもらうことを考えても、では普通の暮らしってなんだろうということになる。鉄筋コンクリートで造られた建物の中に高齢者を集めて暮らすこと自体が普通ではないわけで、その中でどう普通の暮らしをしていくのか。他の職員とそういうことを話す。たとえば、夜9時から10時頃に起きている人がいるが、その人は不眠なわけではなく、生活歴を調べると洋裁や和裁の仕事をしていたので、遅くまでゴソゴソするのがその人のライフスタイルであり、困り事がある人ではない」

 

「すぐに『困った人』という見方をしてしまう中で、そのようにライフスタイルを見ていくというのは大切だと思うし、他の職員とそれを話し合うのも大切だと思う。自分が一生懸命パーソンセンタードケアを実践しようとしていても、なかなか周りの意識がそこまで高まらないという職員の話を聞くことが多い中、そのような職場環境は貴重なのではないか」

 

 

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