『認知症ケアの倫理』第16回読書会レポート② | 寺田真理子オフィシャルブログ

『認知症ケアの倫理』第16回読書会レポート②

2023年1月12日(木)に開催した『パーソンセンタードケアで考える認知症ケアの倫理』第16回読書会のレポートをお届けしています。

 

第16回読書会レポート①はこちらをご覧ください。

 

 

『岐路の前にいる君たちに』からもう一箇所、遠近法主義に関連して110ページから111ページを紹介させていただきました。以下に引用します。

 

 

“「教養」が身についているというのも、それと別なことではありません。教養があるというのは、ものごとの軽重をわきまえているということです。生きていくうえでなくてはならないもの、絶対に失ってはいけないものと、あってもいいけどなくてもいいものと、端的になくていいものと、そしてあってはならないもの、起こってはならないこと。これらの、言ってみれば価値の遠近法をわきまえているということです。そういう遠近法のなかに、自分のしたいこと、自分がいましなければならないことをきちっとマッピングできるということなのです。”

 

そしてもう1冊、男女間の視点の違いということから遠近法に関連して紹介したのが『甘え下手な妻 不器用な夫』です。

 

 

本書には60代の女性が同年代の夫に愛想をつかしたエピソードが登場しますが、そこには冷蔵庫をめぐる遠近法が関係していたのです。

 

この女性は完璧な専業主婦として、友人と出かける時にも夫の食事を用意して冷蔵庫に入れていたのに、夫はそれを食べずにカップラーメンやコンビニの惣菜などを食べていました。冷蔵庫の一番前の真ん中のわかりやすい位置に置いてあったのに食べていなかったのです。せっかく自分が作ったのにわざと食べないのだと捉えて女性は怒っていました。

 

だけど冷蔵庫の一番前の真ん中というのは、女性であれば絶対に目に入る位置ですが、男性の場合は目に入らないことが多いのです。そんな男女差によってすれ違いが起きていたのではないかというエピソードです。

 

関連して、参加者からは以下のような意見がありました。

 

「自分は家族に絶えずイライラしているが、家族に求めることが多いからかもしれない。考えすぎてしまうタイプで、周りがそこまで考えてくれないことにイライラしている。家族以外にそれを求めることはないが、家族には求めるものを押しつけているようだ。そのために妻と喧嘩をしてしまうこともあり、自分としてはわかりあうために喧嘩をしているつもりであったが、妻にとっては喧嘩をしていること自体が苦痛だと知った。高い志やモチベーションを持つことを大事だと思っていたが、それ自体が妻には居心地が悪く緊張を強いられてしまうらしいことに最近気づき、反省している」

 

 

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