第12回読書会レポート③
『リーダーのためのパーソンセンタードケア』第12回読書会のレポートのつづきです。
「ほめることが苦手な人が日本に多いのは、文化的なものなのか」というご質問もありました。たしかに、欧米の文化圏の方には、大仰なほめ言葉をさらっと口にされる方が多いです。多様性のある社会でコミュニケーションをとっていくために、ほめることを重視してその能力を培ってきた部分もあるでしょう。だけど日本でも、万葉集には、イタリア人男性のようなほめ方をしているのが見受けられます。ほめる文化はもともと日本にもあったのですし、日本人にも素質があるはずなのです。
相談支援をされている方は、直接介護に当たっている方とはまったく見方が違うそうです。「あなたはこういうことができませんね」と、できないところだけを見ていては仕事が成り立たないので、常にストレングスを見るようにしているということです。
この方は、92ページのマーガレットの事例に、いちばんはっとしたそうです。特別なことができたときに「すごかったね」と言ってあげることはできるでしょう。そうではなく、当たり前にやったことをほめられるかどうかが大切なのです。
94ページに登場する“www.ebi”モデルについて、95ページの事例にあてはめて考えていきました。また、97ページのカーラの事例について、何が正しくできていたのかを考えながら読んでいきました。この事例に関連して、156ページの訳者あとがきにある「自反尽己(すべてを自分の責任と捉え、自分の全力を尽くすこと)」のお話もさせていただきました。あわせてご参照いただけたらと思います。
今回は101ページまで読み進めていきました。次回は102ページの第5章から読んでいきます。
最後に、コロナ禍の読書に関して、カレル・チャペックの『白い病』を紹介させていただきました。
パンデミックを題材にした戯曲なので、読んで考えることも多いのではと思います。また、年末年始の読書に『三体』もおすすめさせていただきました。訳者の大森望さんのインタビュー記事と合わせてお楽しみいただければと思います。