正解を導けますか? | てらいち 、です

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日常のこと,稽古での気づき,自然の移り変わり・・・

まぁ、誰だって自分の考えは正しいと思いがちです。

 

はたして、そうなのか?

どれだけ検証し、深く考えるでしょうか・・・

 

あとから多くの人から批判されるようなことでも、その場では正しいと思って発言したり行動することがあります。

 

特に問題を起こしがちなのは、その場の身近な小さな集団で「面白いっ」って考えてしまうような発言や行動、それをしてしまうことだったりします。

 

例えば、最近起きたことで回転寿司店での問題行動ですね。

 

ありゃあ、酷いもんだと思います。

 

もしかして、こういうお馬鹿さんが、これまでもやらかしていたのではないか、そう思うと、ガッカリというか、まさか自分もあれを気づかず食べていたんじゃないか、そう思うと気持ち悪くなります。

 

あきれるばかりです・・・

 

この話は、また別のテーマ、別の角度から述べたいと思います。

 

 

今回はこれとは違う話。

 

もう少し前の話題をピックアップします。

 

 

大阪湾に注ぐ淀川に迷い込んだマッコウクジラの話です。

 

 

正直、知らないことだらけでした。

 

そう気づかせて頂いたのは、以前もブログで触れた方の発信です。

 

郡司芽久さん。

 

居合道やら剣道やらで、私が骨格について考えていたとき、偶然接することなったキリンの解剖、骨格についての第一人者。

 

キリンの解剖学では、日本で、いや世界で先駆者となっている、新進気鋭の科学者です。キリンの首が、なぜあれほど大きく動くことができるかを発見されました。

 

その郡司芽久さんが、このクジラについてツイートされていました。

 

一連のツイートを読んで、愕然としました。

 

大型の海洋動物が漂着した場合、処置方法のパターンの多さ。

それぞれに多くの手間がかかる。

さらに処置費用は高額になる。

 

知らないことだらけでした。

 

 

処置はどうする?

 

自然のものだから自然に。

つまり、そのまま放置。

 

これができないんですね。

 

腐れば臭い。

さらにクジラは内臓の腐敗でメタンガスがたまり爆発することもある。

漂流して船舶の航行に支障をきたす・・・

 

処置しなければならない。

 

方法は大きく2つ。

海中投棄と埋設。

 

クジラの死体を沖合に運び海中に沈める。

 

埋設は、海岸や陸地に穴を掘り埋める。

この場合は、焼却することもある、と。

 

海中投棄

 

どうやって運ぶか?

船で引っ張るか、船に積むか。

 

引っ張ると、途中でちぎれる可能性がある。

網で包むか・・・

 

船に積む、といってもクジラのサイズによっては、大型の船を用意する必要がある。

また、そこに積むためのクレーン船なども必要になる。

 

そして、沈めるとなるとき、再浮上し、再漂着を防がなければならない。

 

重りをつける。

その重りも腐っていくクジラかは外れないようにするには、どうするか?

 

マッコウクジラは、体内に多くの脂分を持つクジラ。

再浮上の可能性はゼロにはできない。

 

沈める、といっても簡単なことではないそうです。

 

 

埋設処理

 

埋める場所を何処にするか?

 

埋めて2度と掘り出さないのであれば、海から引き上げ、運搬し、穴を掘ったところに埋める。

大きい場合は一部焼却することもある。

 

埋めておしまい。

ただ、海岸付近だと、波や潮の満ち引きで再び出てきてしまうかもしれない。

 

埋めるといっても簡単なことではない。

 

 

しばらくして掘り出す、ということもある。

それは骨格を標本にし、博物館や研究者が活用する。

 

この場合は、埋設から数年後に掘り出すことになる。

 

引き取る博物館、水族館、研究者がいなければならない。

 

この標本作りも、実に多くの手間がかかる。

骨にする、これも口で言うほど簡単なことではない。

 


詳細は郡司芽久さんのツイートを読んで頂くのが良いです。

 

 

費用の問題

 

処置については、クジラが漂着した場所の自治体が行うことが多い、と。

 

そして、その費用。

これが高額になってしまう。

 

重機や運搬車両、船舶の手配、人件費、その他で100万円から200万円は必要で、方法によっては500万円以上といった費用になることも少なくないとのこと。

 

以前、クジラが集団で漂着したケースがあって、そのときは数千万円の費用になってしまった、と。

 

さらに、標本とする場合は、数年後に掘り出し、骨を丁寧に標本にしていく作業が加わり、それにも費用と人手がかかる。

 

 

正解は何?

 

今回は、大阪市が海中投棄を決めました。

博物館から標本化したいとの申し出もあったそうですが、おそらく費用や方法で折り合いが付かなかったのであろうと思います。

 

海中投棄に異を唱える人もありました。

 

沈めるのは可愛そう

自然のものだからそのままにしろ

埋めればいい

標本にすべき

 

1つ1つの声には、理由もあって間違いとは言えないと思います。

ただ、考える要素がたくさんあって、簡単なことではない。

 

したがって、当事者の出した結論に、アレコレいうのも、これも違うのかな、と感じました。

 

標本にすべき、という意見も多くありますが、無駄だという人も一定数いらっしゃるようです。

 

標本にすること、その手間、標本の意義については、やはり郡司芽久さんのツイートをお読み頂ければと思います。

 

 

クジラの漂着について

 

今回のように、大型のマッコウクジラが川に迷い込むような事例は大変珍しいと思いました。

 

クジラの生態は未解明のことが多い上に、かつての捕鯨によって個体数が減少しました。

 

捕鯨が制限されたことから個体数が回復傾向にあるとされていますが、マッコウクジラについては100万頭と推測されています。

 

100万頭と聞くと、数が多いようにも思えるのですが、実は少ない。

 

この地球、表面の7割が海だと言われています。

 

マッコウクジラが年間何頭くらい死んでいるのか、正確なことは分からないにしても、100万頭のうち、一定数は死んでいるはず。

 

にもかかわらず、死んでから沈みにくいとされるマッコウクジラが海洋に漂っているところを、滅多に見ることがない。

 

それだけ、海が広いということ。

マッコウクジラの個体数が、一見多いように見えてそれほどでもないこと。

 

人類は、地球のことはわかったような顔をしますが、実は広い海のことやそこに生きる動物たちのことは、まだ全く分からずにいるのが実情ではないでしょうか。

 

 

大型海洋生物の漂着

 

こういった海洋動物が本来の生息域を離れ河川に迷い込んだり、死んだ個体が漂着することを「ストランディング」というのだそうです。

 

ストランディングは珍しいのかというと、これまた違うとのこと。

 

なんと、日本だけで年間200件程度、小型クジラ類、イルカ、ウミガメなどの漂着が報告されているそうです。

 

小型クジラやイルカといっても、4~5mの大きさ。

水族館などでご覧になったことがあれば、人間よりかなり大型の動物であることが分かります。

 

その移動や処置には多くの人手が必要になります。

 

そして、こういった漂着した海洋動物の処置を行う団体があるとのこと。

 

これも知らないことでした。

 

 

 

ストランディングがあったとき、生きている個体の救出、死んでいる場合はその処置、標本化などを行っているとのこと。

 

このような活動、まったく知りませんでした。

 

まとめ

 

クジラの迷い込み、漂着、その処理、標本化の作業・・・

知らないことだらけでした。

 

こういった問題に接したとき、簡単にこうすべきと考えてしまったり、当事者の処置について声高に意見を言ったり・・・

 

特に、マスコミの情報を頼りに考えたりするんですが、マスコミは情報を切り取って一部しか報じていなかったり、コメントを入れている内容も一面的だったりします。

 

それに引っ張られてしまいがち。

 

うん、物事を知らないのに、知ったような顔をしてはいけないな、と改めて考えさせられました。

 

 

 

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