メキシコ・オアハカ 刺繍の村「サン・アントニーノ」へ取材訪問 | 目時裕美ブログ「Happy Drink Life」

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今回訪ねたのは、オアハカ州にある小さな村「サン・アントニーノ」。
ここは、手刺繍の技術で知られる村で、約10年前に『ELLE TRAVEL』などの海外メディアでも紹介されたことのある、姉妹が営む刺繍工房を訪ねました。


工房は一見、文房具や裁縫道具を扱うごく普通のお店。
でも奥に足を踏み入れると、そこにはまるで異世界のように、色とりどりの糸と、細やかな刺繍が広がる、静かで熱のある職人の空間がありました。



彼女たちが生み出す刺繍は、どれも一針一針がまるで絵画のよう。
自然の草花や鳥、抽象的な模様が、手作業とは信じられないほどの精密さで表現されています。
その手つきや眼差しの中には、この土地で代々受け継がれてきた誇りと、静かに燃えるような情熱がありました。

取り扱うのは、女性向けのブラウスやワンピースなど。子供服も可愛かったです。
伝統的なスタイルをベースにしながらも、どれもが一点もので、まさに「着るアート」。
ひとつひとつに物語があるような温かさを感じます。


驚いたのは、観光地化されていないにも関わらず、ふらりとタクシーで訪ねても笑顔で迎えてくれるそう。
観光客にも分け隔てなく、温かく受け入れてくれるその姿勢にも、この土地の文化が息づいているように思いました。

大量生産では決して真似できない、手仕事の美しさと、その背景にある「生き方」そのもの。
刺繍という技術を通じて、彼女たちはこの土地の歴史や誇りを、静かに、けれど力強く伝えています。

この村の刺繍文化が、これからも変わらず、丁寧に、ゆっくりと息づいていきますように。
そんな願いを込めて。