テキーラ業界の環境問題への取り組みについて、グアダラハラ大学から発表された記事を松浦芳枝さんに翻訳・解説いただき、テキーラジャーナルHPに掲載しました。
私自身2019年に、コフラディア蒸留所で特別にカサノブレツアーを催行いただいた際に、テキーラブランドで唯一「カサノブレ」と環境問題への取り組みを強化している「サウザ」が共同でこの問題に取り組んでいるというお話をお聞きし、蒸留所内にある排水浄化施設を見学させていただきましたが、アガベの絞りかすの繊維の部分(バガス)だけでなく、排水も全てリサイクルし肥料にしてから再利用しています。
排水はそのまま川や湖に流してしまう蒸留所がほとんどな中、同じく環境問題に取り組んでいるサウザ社と共同で、リサイクル技術を研究し、情報交換をしながらテキーラを作る過程で、廃棄物を出さない取り組みをしています。
サウザ蒸留所では、一般公開していないボトリング設備や、環境問題への取り組みとして日本製のMIURAのナチュラルガスボイラーを使っているため、そちらも特別に見せていただきました。
通常使われているボイラーは大きすぎるため、エネルギーの無駄遣いにならないよう、小型のボイラーを必要な数だけ使うように調整しているそうです。
サウザの製法は、アガベを加熱せずにディフューザーを使って生のままのアガベジュースを高圧スチームにより絞り出しているのが特徴ですが、生アガベのフレッシュな味わいを残すことの他に大事なポイントがあります。
ディフューザーを使用する事によって、サウザのこだわりであるテキーラを作る過程の全ての材料をリサイクルするために、ガスや水を大量に使わないことが可能です。
テキーラで使う水をも全てテキーラ火山で濾過された自然なものを使っています。
テキーラに詳しい方ほど、アガベらしい味わいを好む傾向があり、ディフューザーを使った大量生産のテキーラを別物扱いしてしまう場合も多いのですが、少しだけ見方を変えたらどうしよう?
少量生産のテキーラも、大量生産のテキーラも、どちらも同じように人の思いが込められています。
そして、大量生産する技術があるからこそ、テキーラが世界中に広まったのも事実。
どんなに時間と人の手をかけても、最終的に環境破壊や汚染に繋がってしまったら、テキーラ産業は衰退してしまいます。
だからこそ、大手の力は必要なのだと思います。
テキーラは優越をつける飲み物ではなく、楽しみ、仲間とシェアするお酒。
製法の違いは個性!もちろん味の好みはあるので、無理に飲む必要はありません。
好きなブランドを好きな飲み方で、自由に楽しみましょう
そして、テキーラの製造過程で出る、アガベの繊維や水などをほぼ100%再利用できるように、様々な蒸留所がリサイクル施設を設置したり、環境問題への取り組みをしています。
テキーラ業界のこうした活動が、沢山の人に伝わる事を願って。