部屋の中の圧が変わって、思わず立ち上がる。
「智っ!」
ガチャッと音のする玄関。
リビングのドアを勢いで開け、廊下を駆ける!
その先には、靴を脱ぎながら、俺を見る松潤の顔!
「松潤っ!」
その首に飛び付き、ギュッと抱きしめる。
「……っ、……さと。」
松潤の腕も、ギュッと背中に回る。
あれから2回したのに繋がらなかった電話。
本当に事故にあったのか、俺が待ってんのに飲みに行っちゃったのか、
まだ仕事が延びてるのか、考えだしたらグルグルしだした俺の脳みそ。
元々あんまり活動的じゃないからな。
日頃からもっと使わなきゃダメだな、きっと。
ああ、でももう、そんなことはどうでもいい!
考えるより感じろ。
目の前に、俺の腕の中に!
やっと会えた。
やっと……。
腕の中に収まってた松潤が、ちょっとだけ首を動かして俺の肩に顎を乗せる。
玄関の段差のおかげで今は俺のが少し高い。
「いたんなら……なんで電話でないの。」
ふてくされぎみの松潤の声。
「それを言うならお前だろ。電話でなかったの。」
「何度もかけたんだよ。」
「俺だって。」
握り締めてたスマホを松潤に見せる。
履歴を見た松潤が、自分のスマホも並べる。
並んだ数字……。
え?3度も同時に掛けた?
松潤の目がまん丸になって、口が開いたまま!
スマホとお互いの顔を行ったり来たりして、どんどん笑いが込み上げて来る。
「俺ら、相当気が合ってる?」
「え?こんなことってある!?」
笑いながら、松潤が玄関から廊下に上がる。
少し見上げる、いつもの松潤の顔の位置。
「ただいま。」
チュッと松潤の唇が俺のにくっつく。
「おかえり。」
今度は俺からくっつける。
そうだ!忘れる前に!
「37歳、おめでとう。」
またチュッと唇をくっつけて。
でも、松潤の返事は聞けない。
ずっとくっついたままだから。
なんかさ、全部どうでもよくなってくるんだよ、一緒にいると。
松潤がいて、俺がいる。
それだけで十分。
それが一番。
松潤がさ、俺の腕の中にいるんだよ?
俺を見て、クスッと笑って、艶っぽい目で見るんだよ。
会えなかったこの一週間、ずっと松潤のこと考えてた。
何を見ても何を聞いても思い出して、イライラしてヘコんで……。
俺はこの、頑固で我が儘なこいつと一緒にいたいだけなんだよな。
誕生日だろうが、なんでもない日常だろうが、ずっと。
ずっと一緒に……。
やっと離れた唇から松潤の吐息が漏れる。
「はぁ……リビング行こ。」
少し赤くなった頬を撫でる松潤に、もう一度キスしたくなる。
やべ。
止まんねぇ。
潤side
次でラスト~!
ラストは両sideで時間がずれます。
潤sideが明日の朝9時
智sideが明日の朝10時 です。
できればその順番で読んでね~。