こんなに俺の動きって速かった?ってくらいの速さで帰ってからのルーティンをこなす。
多分傍から見たらめちゃくちゃ面白い動きだと思う。

ドアが閉まる前に高速で上着脱いで。
忘れずに鍵掛けて除菌スプレーしてシューズクロークに引っ掛けて。
焦る気持ちを抑えて靴を脱いでいると───リビングのドアが開いた。
「松潤っ!」

あの忍者役が重なるくらい、もう次の瞬間には智は手を伸ばすと俺に抱きついていた。

「……っ、…さと」
智。
会いたかった。
背中にまわされた手が、Tシャツに皺を作る。
俺の頬に智のぷにってしたほっぺたを感じて、あぁこの上がり框の分、智の背が高いんだって
なんだかそんなとこに妙に愛おしさを感じてしまった。

俺も智をぎゅって抱き寄せて智特有の匂いで肺を満たした。
……ほっとした。
ちゃんと家に居てくれた。

なんか落ち着いてきたら智とは別にイイ匂いするし。
もしかして、料理してくれてる?
あんなに電話したのに通じなくて何してたのよ。
料理?
「いたんなら……なんで電話でないの」
もしかしてその食材釣りに行ってたとか…ありえる。
「それを言うならお前だろ。電話でなかったの」
「何度もかけたんだよ」
「俺だって」
ハイ?掛かってきてないし。

智が俺から離れて握り締めてたスマホを目の前に突き出してきた。
老眼じゃないけどそんな近く見えねぇよ!

「………ぇ」
履歴を見て、記憶にある時間がぽんぽんと浮かんだ。
ケツポケットの携帯を取り出して履歴を出すと───…
この、数字……。
え?3度も同時に掛けた?
マジ?なにこれ?
スマホと相手の顔を行ったり来たりして、どんどん笑いが込み上げて来る。
「俺ら、相当気が合ってる?」
「え?こんなことってある!?」
笑いながら、漸く靴を脱いだ。

少し見下ろす、いつもの智の顔の位置。
「ただいま」
チュッと不意打ちでキスをすると。
「おかえり」
今度は智からも仕返しみたいなキス。
張り合ってんのかよ。

ふふっと笑おうとすると
「37歳、おめでとう」
またチュッと唇をくっつけて。


…何この可愛いおじさん。
俺より歳上だよね?なんでこんな可愛いことすんの。
もう離れたくないじゃん。
離れてた分、離れたくないじゃん。

いつもみたいにガチガチにセットされてないさらさらの髪を包み込んで
ちゅ、ちゅ、と角度を変えてキスをする。
久しぶりの感覚に鳥肌さえ立ってくる。

きゅっと俺の腕を掴む手もたまんない…

「はぁ……リビング行こ」

まだ家に入って数歩だよ俺。
37になったわけだし大人の余裕で理性止めないと。








☆明日は潤sideが9時、智sideが10時、さらに番外編が11時更新となります!
何時に読んで頂いてもいいんですが
私を先、tepoさんの方をあとに読んでいただけたらと思いまーす。

あ、お察しの通りそこでラストです(・∀・)
やっとかよ!(読者さん全員のつっこみ)