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スマホの画面には櫻井翔の文字。
一回画面をタップすれば、電話がかかる。
でもなぁ・・・いきなり電話して、会いたいって・・・
キモくないか?
今までこんなことしたことない相手にだろ?
俺だったら・・・げっ!って思うかも。
でも・・翔君から言われたら・・・行く・・・かも?
画面のすぐ上で指がウロウロ。
松潤が、俺の肩口にドンとぶつかってきた。
その勢いで指がスマホの画面をタップ・・・
トゥルルルと呼出音が鳴る。
「おまっ!なにしてんだよ!」
松潤を押しのけた。
やばっ!切らなきゃ!と思ってるうちに・・・
通話時間のカウントが始まった。
遅かった−!
翔君、電話に出ちゃったじゃんか!
スマホから「もしも〜し」と翔君の声が聞こえる。
え?どうしよう。
会いたいって・・・言ったら・・絶対ひかれる!
「もしもし?あの・・・大野です。いきなりでごめん。あの・・そのぉ・・・」
“智君?どうしたの?何か急ぎの用でも?”
会いたいなんて言えるわけねー!!
かと言って、口からでまかせで何か用事をでっち上げることもできねー!
「あの・・・」口ごもって言葉が出てこない俺を気の毒に思ったのか?
カランとグラスを回しながら、松潤がボソっと「今、何してる?」
助け舟!松潤の方を見て、ありがたい!って思ってたら・・
松潤にはクスクス笑ってて・・・これは気の毒っていうか。
完全に面白がってる?
俺、松潤のおもちゃ扱いじゃね?
「こないだのZEROも見たよ。翔君の特集、面白かった」
「髪型もすごい似合ってた。今度、同じ髪型やってみてよ」
「翔君、スーツ似合うよね。かっこよかった」
クスクスからニヤニヤに顔が変わっていって。
やっぱりおもちゃじゃんか!
とは思うものの・・松潤のサポートがないと、話が続かない!
翔君もこんな急用でもない話に付き合ってくれてる。
コトン、とグラスを置くと、座り直した。
声がよく聞こえるようにか?ちょっと距離を詰めてくれる。
ほら!助けてくれよ!次、なんて言えばいい??
「キャスター姿の翔君の絵を描きたい」
「今度写真送ってよ」
ちょっと待て!
なんつーことを言わせるんだ!
ここまで言うと、翔君が戸惑ってるじゃないか!
ニヤニヤからスッと表情を消すと、松潤がものすごいイケメンになった。
テーブルに付いた肘に体重をかけるようにして、俺にグッと近づく。
な・・なんだよ!急に!
ライブ以外でのこの近さはさすがに普段はない。
内心、なんだ?と思ってるのを隠した。
反対側に避けようとする上半身を動かさないようにする。
すると・・・・
a 松潤が「会いたい」と耳元で囁く
b 潤君に抱き締められる
Writing by 凪 Special Thanks!