Love so sweet ~ やま №100 ~ | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



「ただいま~。」

ガチャッと玄関を開ける。

漂ってくるいい香り。

いつもなら、ちょこっと顔を出す智君が出てこない。

キッチン……かな?

何作ってんだろ?

靴を脱いで、廊下に足をついた途端、体中が重くなる。

あ~、俺、だいぶ疲れてる?

そりゃそうだ。

ここ数日のハードスケジュールは結構きつかった。

靴下を脱いで、洗濯機に放り込む。

上着を脱ぎながら、リビングのドアを開ける。

いい香りがリビングいっぱいに満ちていて、思わず深呼吸。

「あ、おかえり。」

智君がキッチンでふにゃりと笑う。

ドッと体の力が抜ける。

上着をソファーの背に投げ、腰からソファーになだれ込む。

「翔君!?」

智君が、お玉を持ったままやってくる。

「つかれた~。」

ソファーに座ったまま横になる俺を見て、安心したようにまたふにゃっと笑う。

「お疲れ。」

「何作ってんの?」

ソファーに沈んだままネクタイに指を入れ、揺すりながら緩める。

「ダシとってる。」

「ダシ?」

「そ、出汁!」

智君が笑ってキッチンに戻って行く。

出汁……とって、何作るつもり?

起き上がって、ソファーの背から智君のいるキッチンを見る。

当然、智君の姿は見えない。

でも、良い香りが湯気に乗ってやってくる。

ネクタイを外しながら、そっとキッチンを覗き見る。

智君はお玉に掬った出汁を豆皿に乗せている。

「智君?」

「ちょっと待ってて。」

豆皿の上の出汁が、智君の息で波打つ。

そこにそっと口をつける智君。

汁がゆっくり智君の唇に流し込まれて行く。

「うん、旨い。」

豆皿にまた汁を乗せ、俺に差し出す。

受け取って、顔を近づける。

ほんわかした湯気が、鼻孔をくすぐって……香りだけで十分美味しい。

クイッと、酒を飲むみたいに飲み込むと、口の中いっぱいに広がる香りとうま味。

「マジ、うめっ。」

「だろ?」

智君は火を止め、まな板の上で葱を刻み始める。

「今、旨い味噌汁作ってやっから、ちょっと待ってて。」

「……味噌汁?」

智君の隣で、智君が刻む葱を見つめる。

見つめてるのは、本当は葱じゃないけど。

包丁を使う智君の指とその動き。

料理してるせいかな?

しっとりした手が、葱を刻む包丁を、器用にサポートしてる。

葱をちょっとずつずらしていく手。

手の甲の滑らかさ、骨の動き、血管。

物を作る手って、こういう手なんだろうな。

朴訥とした美しさ。

上手にできたのか、智君が軽く鼻唄を歌ってる。

ん~、よりいっそうお出汁の香りが濃厚になった気がする。

この人は、どうしてこうも全てを美しく見せるんだろう。

舞台に立てば、歩くだけで、

カメラの前に立てば裾を払うだけで、

キッチンに立てば、こうして包丁を握るだけで。

この世の全てが美しいんじゃないかと錯覚を起こさせる。

それくらい智君の周りは美しく澄んでいる。

鍋に豆腐となめこを入れ、味噌を解く。

菜箸を操る手もまた美しい。

最後に葱を散らす指。

「旨そ。」

俺と顔を見合わせ、智君がクスクスっと笑う。

「旨いよ。」

お椀にそっと味噌汁をよそい、それを持って、ダイニングへ。

味噌汁を前に向かい合う。

「いただきます。」

「んふふ。」

両手でお椀を持つ俺を、智君が見つめる。

そっと、口を付ける。

出汁の濃厚な香りと、葱の香り。

一口すすると……口の中が旨いでいっぱいになる。

体中に染みわたるうま味。

ほっと息をつくと、智君が微笑みながら味噌汁をすする。

「うん、旨い。」

「旨いね。」

味噌汁に浮かぶ具を見ながら、もう一口。

「ていねいに出汁をとったから。」

「丁寧に?」

「煮干しは頭と腹を取って、じっくり煮出して、サバ節は削りたてを使って。」

「だから、香りがいいんだね。」

ふふっとまた笑って、味噌汁をすする。

「今日の翔君にはこういうのがいいと思って。」

「うん、最高。すっごく染みる。」

智君が、味噌汁をすすって、じっと器の中を見つめる。

「明日も作ってやっからな。」

「うん、これなら疲れても大丈夫!」

智君が困った顔で笑う。

「食べたらシャワー浴びてこい。」

「いいよ、疲れちゃったから、明日の朝にする。」

「そっか。」

智君がまた味噌汁をすする。

口からはみ出したなめこをチュルッと吸い込む。

「智君が一緒なら……今入ってもいいよ?」

チロッと上目遣いで見る。

智君は、箸で豆腐をそっと掬って、口に入れるところで。

「しょうがねぇなぁ。」

言いながら、お椀の味噌汁をゴクゴクと流し込む。

俺も慌てて、味噌汁をかっ込む。

「三助してやっから、早く脱げ。」

智君が俺のシャツを引っ張る。

「そんなにすぐは無理!」

笑いながら、バスルームへ向かう。

「え?もしかして智君は入らないの?」

「おいらは三助。」

そう言って、俺のシャツを脱がそうとする。

「え~、一緒がいい!」

「今日はダメ。疲れてんだから。」

智君が俺のシャツを握って視線を外す。

「ごめんな。」

「なんであなたが謝るの?」

俺は自分でシャツを脱ぐ。

露わになった胸に、智君が、トンと頭をくっつける。

「あなたが悪いわけじゃないよ。」

智君の頭を撫で、背中をトントンと叩く。

「俺は好きでやってるんだから、ちょうどいいんだよ。」

「……翔君。」

智君の肩を掴み、視線の高さを合わせる。

「ほら、三助してくれないと、寝る時間なくなっちゃう。」

「……ん。」

俺が笑うと、釣られるように智君も微笑む。

二人一緒にバスルームに入っていく。

そう、誰が悪いわけでもない。

俺はあなたの美しい世界を守りたい。

本当に心からそう思ってる。

例え……あと少しで、あなたがここからいなくなったとしても。