つなぐ 三十五帖 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



人差し指が差したのは、男の腕の中で、気持ちよさげにスヤスヤと寝入る赤子。

「これか?」

男がそっと赤子の顔を二人に向ける。

「これは……わしの子だ。」

男が自慢げに笑う。

「え?」

「ええ?」

「どうだ、可愛いだろう?」

二人は赤子に歩み寄り、男と赤子を見比べる。

「狐殿は……子が産めるのでございますか?」

「わしにできぬことはない。」

「だ、だって、男ですよね?どこで孕ませたんですか!?」

雅紀の驚きを隠せぬ声に、男が声を上げて笑う。

「まさか!わしが産んだ子だ。この為に戻っておったのじゃ。」

「え?」

「えええ?」

二人は顔を見合わせ、もう一度赤子に視線を戻す。

確かに赤子は男に似ている。

寝ているからわかりづらいが、長い睫毛に可愛らしい口元は男とそっくりだ。

「確かに似てるけど……鼻とか、目の大きそうなとことか……、

 翔さんにも……似てる?」

雅紀が不思議そうに櫻井を見上げる。

「まさか……。」

櫻井が驚いて目を見開いたまま、男を見据える。

「お前との子だ。」

男はニヤリと笑って、胸に抱いた赤子の頬に唇を当てる。

「そんなことが、まさか……。」

驚いて口を開けたままの櫻井を見て、男がさらに笑う。

「なんだ、星はそこまで教えてはくれなかったのか?」

櫻井は驚いて口を開いたまま考える。

あの星の輝きは、このことだったのか?

でも、まさか……。

櫻井は人差し指で唇を撫で考える。

さすがに櫻井でも、すぐに信じることができない。

「わしはちゃんと言ったぞ?

 大きくなって帰って来る、お前好みの土産を持って、とな。」

「確かにそう言いましたが……。」

櫻井は赤子の顔を覗き込む。

男にも似ているが、自分にも似ている。

この髪の生え際など、自分とそっくりではないか?

恐る恐る赤子の頬を撫でてみる。

フワッと柔らかく、わずかに櫻井より高い体温が気持ちいい。

赤子が、生きた赤子なんだと実感が沸いてくる。

「信じられません……。」

櫻井がそう言うと、男は不満そうに口を尖らせる。

「信じようが信じまいが、お前とわしの子だ。」

「信じないわけでは……ありません…が……。」

櫻井は赤子をじっと見つめる。

赤子がふにゃふにゃと顔を歪め始める。

「ああ、赤ちゃんが泣いちゃう!私、ちょっと丸さんのところに行って来ます。

 丸さんとこ、先月赤ちゃんが生まれたばかりだから、少しお乳を分けてもらってきます!」

雅紀はそう言うと、一目散に玄関を飛び出した。

「雅紀さん!」

櫻井が呼び留めようとすると、男が櫻井の肩を掴む。

「この子に乳は必要ないが、飲めないこともない。」

男は櫻井に赤子を手渡す。

櫻井は赤子を抱き、その軽さ、柔らかさにドギマギする。

「え、あ、どうしたら……。」

「黙って抱いていろ。」

櫻井は慣れぬ赤子に、身動き取れない。

赤子は櫻井に気付き、櫻井の顔をじっと見つめる。

黒い大きな瞳は、濁りなく、透き通っている。

「あなたと私の……。」

「そうだ。もう少し大きくなってから連れて帰ろうと思ったが、

 お前が呼んだからな?」

櫻井は赤子から視線を逸らさず、あやすようにぎこちなく体を揺らす。

「聞こえたんですか?」

「当たり前だ。お前が掛けた術だろう?」

櫻井が、ふふっと笑うと、ふにゃふにゃしていた赤子の口元が、笑っているように歪む。

「ああ、笑いましたよ、ほら。」

「この子にもわかるんだな。お前が親だと言うことが。」

男も赤子のようにふにゃりと笑う。

「しかし……どうしましょう?」

「何が?」

「この子が大きくなった時……、母親をどう説明するか……。」

男は、ふむと、唇の端を上げる。

「なに、お前の母親は流行り病で亡くなったとでも言っておけばいい。

 名前は、そうだな……。」

男の目に、ふと庭の葛の葉が映る。

「葛の葉だ。母親の名は葛葉(くずのは)でいいだろう?」

「葛葉……優しそうな名です。」

櫻井も庭の葛の大きな葉に目をやる。

大きな葉は、この子を雨風から守ってくれそうな気がする。

「でも、なぜ……赤子を?」

男はにやりと笑う。






 


 

ダメだ~、3000越えたから分けるね。

長くても、最後にしようと思ったんだけど!

34、35、36はちょっと短めですが、よろしくお願いします!