つなぐ 三十四帖 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。

 


「どうですか?帝のご様子は。」

櫻井は味噌汁を啜りながら雅紀を見る。

雅紀は、櫻井の釣った小さな魚から骨を取るのに夢中だ。

「はい。今日は顔色もよく、薬が効いているようでした。

 ウコギを加えたのがよかったのかもしれません。」

「顔色がいいのは、雅紀さんが行ったからでしょう?」

櫻井も魚を頬張りながらニコッと笑う。

「そ、そんなことは……ありません……。」

雅紀の頬がみるみる染まっていく。

「ただ、面白い話しをする町の子供だと思われているだけで……。」

「そうでしょうか?」

櫻井が意味深に笑う。

「そ、そうです!そうに決まってます!」

雅紀は赤い顔を隠すように、口を大きく開けてご飯を掻き込む。

「ふふふ、いつものしっかり者の雅紀さんも素敵ですが、

 そうやって恥ずかしがってる雅紀さんはさらに可愛らしいですな。」

「しょ、翔さん!」

雅紀が恥ずかしさを隠すように、櫻井を睨む。

「でも……。」

雅紀は、じっと茶碗を見つめる。

「帝の所に行く度に、恥ずかしさが増します。」

「それはなぜ?」

櫻井が首を傾げて雅紀を見る。

「帝は……何かにつけ、手を繋ぎたがります。

 すぐに……抱き着いてくるし……。」

櫻井は、箸を持つ手で口を隠して笑う。

「それは、いろいろな意味がありますな。」

「いろいろな?」

櫻井は小さくうなずく。

「帝なりの親愛の情を示しているのもあるでしょうし……、

 雅紀さんと触れ合っていると……心と体が軽くなるのでしょう。」

「心が?」

「はい。雅紀さんの優しさに触れているのと同じ効果です。

 直接触れ合えば、温もりも、優しさも伝わってくるでしょう?」

櫻井はあえて雅紀の秘めた力について言わなかった。

それを知れば、雅紀が要らぬ心配をするやもしれぬ。

帝の気持ちを勘ぐって、悲しむことになるかもしれない。

自分の力のせいで帝が雅紀に触れたがると……。

実際、そういう面がないとは言えない。

雅紀と触れ合えば、雅紀の力によって、体の内から浄化されていくのかもしれない。

だが、誰にもそれを確認することができないのだから、

わざわざ言う必要もないだろう。

力について、いつか話さなければならないとしても、もう少し雅紀が成長してからでいい。

櫻井はにっこり笑って茶碗を持つ。

「力になってあげてください。

 帝は私達にはわからない、大変な想いをされてこられているでしょうから。」

「はい。」

雅紀が力強くうなずく。

今、力になることが、将来雅紀の為になる。

櫻井も同じようにうなずいて、魚に箸を付ける。

「でも、私も……。」

雅紀がにっこり笑う。

櫻井が箸から、視線を雅紀に移す。

「帝と一緒にいると……とても温かい気持ちになります。」

雅紀がやはり恥ずかしそうに笑う。

「手を握られるのも、抱き着かれるのも……恥ずかしいけど、嫌じゃありません。」

櫻井に笑顔が広がっていく。

「そうですか……。」

二人は見つめ合って笑い合う。

星の巡り合わせとは、なんと不思議なものなのか。

全く知り合うはずもない帝と鬼の子が、こうして知り合い、お互いを求め合っている。

櫻井は、窓から空に目を馳せる。

星は……次はどこへ向くのだろうか。

「お前も……そろそろ抱き着かれたいんじゃないのか?」

突然響く男の声に、驚いた櫻井と雅紀の動きが止まる。

声は土間の方から聞こえて来た。

すぐさま、二人の視線が土間に移る。

二人の視界に入ったのは、出て行った時と同じ、にこやかに笑う男の顔。

「狐殿……。」

「ど、どこに行ってたんですか!」

二人同時に叫び、次の瞬間、ビクッとする。

「それ……。」

雅紀が人差し指を男の胸元に向ける。

「どうしたんですか……?」