一つの旅が終わり、次が始まる

 

 

シリーズ、2作目。

 

1作目の「旅の仲間」が三手に別れ、

それぞれの旅路が始まります。

 

 

ファンゴルンの森で出会う

“森の守り手”

エント

 

黄泉の国(死者の国)から戻った、ガンダルフ

 

 

300対10000、

勝利の望みのない戦──

 

人間とエルフ、ドワーフ、エントたちが

「ヘルム峡谷の戦い」に挑む!

 

 

 

 

(エント/森の守護神)

わしは木じゃないぞ

わしはエントじゃ

 

わしは誰の味方でもない

誰も わしの味方になって

くれんからな

 

森のことを気にかける者は

もう どこにもおらん

 

 

(エント)

森に火を持ち込み

時には斧を運び込んで

かじり 噛み付き 切り裂き

叩き割り 火を放つ!

破壊し強奪する奴らだ

呪われろ!

 

 

(ガンダルフ)

火と水を

くぐり抜け

地の底から

そびえる峰の尖端へ・・・

モルゴスのバルログと戦った

 

ついに奴を投げ落とし

山腹に打ちつけて

息の根を止めた

 

時間がわしを包み

わしは意識と時間の外へ

さまよい出た

星々が頭上で渦巻いて流れ

過ぎ去る一日一日は

地上の一生のように長かった

だが それで終わらず

わしは

再び体内に生気を感じた

そして送り返された

務めを果たすために

 

(アラゴルン/ヴィゴ・モーテンセン)

ガンダルフ

 

(ガンダルフ)

ガンダルフ?

 

そうだった

そう呼ばれていた

 

“灰色のガンダルフ”

わしの名だった

 

今は “白のガンダルフ” だ

そして戻って来た

潮の変わり目にな

 

一つの旅が終わり 次が始まる

 

 

(エント)

猛々(たけだけ)しく育った木々は危険だ

胸の中で怒りが沸(わ)き立ち

隙(すき)を見せれば覆いかかる

なのに彼らをなだめる

わしたちエントの数は

今や あまりにも少ない

 

 

(ガンダルフ)

ローハンの王 セオデンの居城

彼の心は操られ

サルマンの思うがままに

動かされてる

 

 

( “蛇の舌” グリマ)

あなたは独りぼっち

暗闇に向かって

何を話しておられる?

眠りの訪れぬ つらい夜

自分の人生が

小さくしぼんでゆく

寝室の壁が四方から

じわじわ迫ってくる

自由を求める魂を

閉じ込める檻(おり)だ

 

あなたは美しい

だが冷たい

冬の寒さに しがみついてる

早春の朝のようだ

 

 

(ガンダルフ)

セオデンよ!

センゲルの息子!

影から抜け出すのだ

聞け!

あなたを呪縛(じゅばく)から解き放とう

 

傷から毒を引き出すように

お前を引き出そう サルマン

 

去れ!

 

 

(ガンダルフ)

自由な空気を吸え わが友

 

 

(ローハンの国王、セオデン)

ずっと悪い夢を見ていた

 

 

(ガンダルフ)

(ご子息は)武勇に秀でた若者

(その御霊は)必ずや ご先祖の元に

向かわれる

 

 

(エオウィン/セオデンの姪)

死や苦痛の恐れなど!

 

(アラゴルン/ヴィゴ・モーテンセン)

あなたの恐れるものは?

 

(エオウィン)

檻(おり)です

鉄格子の中で老い

気力を失って

勇気を試す機会に

見放されることです

 

(アラゴルン)

あなたは王家の娘

ローハンの “盾(たて)持つ乙女”

そんな運命には無縁です

 

 

〈夢の中〉

 

(アラゴルン)

〈あなたは言った

“この日が いつか来る” と〉

 

(アルウェン/リヴ・タイラー)

〈これは終わりでなく

始まりです

フロドと旅を共に

それが あなたの道〉

 

(アラゴルン)

〈その道は見えない〉

 

(アルウェン)

あなたの足元に

敷かれてます

ためらいを捨てて

 

信じるものがない時でも

これを信じて

私たちの愛を信じて

 

 

(エント)

かつては森で

散歩するサルマンを見かけた

だが今の奴の心は金属と

歯車で出来ておる

生(は)え育つものへの

愛情も失ってしまった

 

 

( “森の奥方” ガラドリエル/ケイト・ブランシェット)

闇の力が集められて

指輪の意志は強まる

指輪は人間の手に戻る方法を

懸命に探しています

指輪の力で簡単に

誘惑できる人間の手に

 

 

(ガラドリエル)

もう一息(ひといき)です

指輪が目的を達するまで

もう一息・・・

 

サウロンは地上の

全生命を支配する

それで世界が

破滅しようとも・・・

 

エルフの時代は終わりました

 

 

(エント)

わしらエントは

人間と魔法使いの戦(いくさ)には

知らん顔

大昔から そうじゃった

しかし今 何か新しいことが

起ころうとしておる

この第三紀を通じて

起こらなかった何かが・・・

エントムートじゃ

 

皆で集まることじゃ

 

ぶなの木 樫(かし)の木

栗の木 トネリコの木

 

よし よし よし

大勢 集まったぞ

 

戦(いくさ)に加わるか否かを

わしらエントが

決めねばならん

 

 

(セオデン)

お前は王を信頼するか?

 

-臣民は何があろうと

運命を共にするでしょう

 

 

(アラゴルン)

“望みは常にある”

 

 

(エント)

〈破壊された森を見て〉

 

ここの木は わしの友達だった

奴らが木の実やドングリ

だった頃から知っていた

 

それぞれ声も持ってた

 

サルマンめ!

魔法使いともあろう者が!

 

これほどの悪行を

ののしる言葉は

エルフ語にもエント語にも

人間の言葉にもない

今夜はアイゼンガルドに

岩や石の雨を

降らせてやるぞ!

 

 

(エント)

友よ 立ち上がろう

我々エントも

戦(いくさ)におもむくのだ

恐らくは これが

我々の最期となるだろう

これがエントの

最後の行進じゃ!

 

 

(サム)

心に深く残る物語の中に

入り込んだ気がします

暗闇と危険に満ちた物語

明るい話になり得ないので

結末を聞きたくない

悪いことばかり

起こった世界が

元に戻ります?

 

でも この暗闇も いつかは

消え去ってゆくでしょう

暗黒の日々にも終わりが・・・

新しい日が来ます

そして太陽が より明るく輝く

(吹:でも夜のあとに 必ず朝が来るように

どんな暗い闇も 永遠に続くことはないんです

新しい日がやって来ます

太陽は倍にも増して 明るく輝くでしょう

 

そういうのが心に残る

意味の深い物語です

子供の時は分からなくても

なぜ心に残ったのか

今は よく分かる気がします

物語の主人公たちは

決して道を引き返さなかった

何かを信じて

歩み続けたんです

 

(フロド)

何を信じればいい?

 

(サム)

この世には

命を懸けて戦うに足る

尊いものがあるんです

 

 

(映画『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』より抜粋)

 

 

 

 

 

 

1作目はこちら↓

 

3作目はこちら↓

 

 

 

まじかるクラウン