ネブトクワガタ 兵庫県 Aegus subnitidus subnitidus | 昆虫漂流記

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ネブトクワガタ
Aegus subnitidus subnitidus
兵庫県姫路市石倉
2004年7月

日本本州のネブトクワガタは山形県を北限に、九州にかけて生息しています。
以前は中国に生息する「Aegus laevicollis laevicollis」の亜種として1873年以降「Aegus laevicollis subnitidus」とされていましたが、現在は独立種として2010年以降「Aegus subnitidus subnitidus」と分類されて学名が変更になっています。

離島には亜種が生息していますが、それらも本州のネブトクワガタの学名の変更に伴って、亜種の学名も変更になっています。

  • ハチジョウネブトクワガタ Aegus laevicollis fujitai (1976年亜種記載)→Aegus subnitidus fujitai (2010年に学名変更)
  • トカラネブトクワガタ Aegus laevicollis adei (1976年亜種記載)→Aegus subnitidus adei (2010年に学名変更)
  • ナカノシマネブトクワガタ Aegus laevicollis asaii (トカラネブトとは違い、日本本土のネブトと扱われてきましたが2004年に亜種記載)→Aegus subnitidus asaii (2010年に学名変更)
  • ガジャジマネブトクワガタ Aegus laevicollis matsushitai (2001年亜種記載)→Aegus subnitidus matsushitai (2010年に学名変更)
  • オキノエラブネブトクワガタ Aegus laevicollis tamanukii (1976年亜種記載)→Aegus subnitidus tamanukii (2010年に学名変更)
  • アマミネブトクワガタ Aegus laevicollis taurulus (1928年亜種記載)→Aegus subnitidus taurulus (2010年に学名変更)
  • オキナワネブトクワガタ Aegus laevicollis nakanei (1976年亜種記載)→Aegus nakanei nakanei (2010年に種nakaneiになり独立種に)
  • イヘヤネブトクワガタ Aegus laevicollis doii (2002年亜種記載)→Aegus nakanei doii (2010年に種nakaneiの亜種)
  • ヤエヤマネブトクワガタ Aegus laevicollis ishigakiensis (1960年記載)→Aegus ishigakiensis ishigakiensis(2010年に種ishigakiensisになり独立種に)(サキシマネブトクワガタとも云う)
  • ヨナグニネブトクワガタ Aegus laevicollis mizumumai (1985年記載)→Aegus ishigakiensis mizunumai(2010年に種ishigakiensisの亜種に変更)
  • オガサワラネブトクワガタ Aegus ogasawarensis ogasawaraensis→変更なし(1975年に独立種記載)
  • チチジマネブトクワガタ Aegus ogasawarensis chichijimaensis→変更なし(2000年にオガサワラネブトの亜種記載)


今までは日本のネブトクワガタと呼んでいたのは学名「laevicollis」(ラエビコリスネブトクワガタ)と呼ぶのが正しかったのですが、2010年より「subnitidus 」(サブニティドゥスネブトクワガタと呼ぶのが正しくなりました。
尚、オキナワとイヘヤの亜種は今までの本州の亜種種から別種の「nakanei」になり、ヤエヤマとヨナグニも別種の「ishigakiensis」という種に指定されています。

ネブトクワガタを意味する属名「Aegus」は「山羊の」を意味し、ギリシャ語で山羊を意味する「aix」の属語「aigos」をラテン語化した結果「Aegus]になります。
変更前の種名「laevicollis」は「滑らかな頸の」という意味合いで、亜種名「subnitidus」がラテン語は「サポートする」、ギリシャ語では「亜硝酸性炎」と云う言葉に変更されたようです。
され、この学名にはどういった意味合いがあるものなのだろうか?

クワガタの学名に「亜硝酸性炎」はまさか無いよね!

属名、小種名等の命名は、全くの自由でどの言語を使っても良いし、どのような表現をしても良い。一般的にはギリシャ語は造語力が強いのでギリシャ語からラテン文字に変換して用いられることがある。もちろんラテン語をそのまま使われる事も見られるのだが、なかには日本のコブゾウムシのように「kobuzo」で日本語が用いられる例もある。
とりあえず男性名詞、女性名詞、中性名詞があるので、それを使う場合、形容詞化する場合、複合語化する場合は注意が必要です。

日本国内でも沢山の亜種に分れていますが、虫自体が小さい為に、亜種の違いを見分けるのは、それこそルーペや虫メガネが必要で詳細を見分ける力が必要でしょう。
モチロン私には無理だと自信をもって云えます。

この辺りで、難解な分類話は終わりにして、本州のネブトクワガタの話に移りたいと思います。
ネブトクワガタは東日本に少なく、西日本に多産すると云われています。
特に関東周辺から以北にかけては珍品になるようです。


兵庫県に住む私は近年ではネブトクワガタを見る事は少なくなりましたが、私が小学生の頃の1975年頃は、自宅周辺のアキニレの木の根元の土中でよく成虫を採集していたものです。
周辺の山には松の樹木も沢山生えている山なので、環境的に良かったのかもしれません。
しかしもうその場所には大きな施設が建設されネブトクワガタは跡形さえなくなりました。

尚、日本のネブトクワガタがライトトラップに飛来したという話は聞いた事が無いので、夜間の活動時間帯でも「正の走光性」ではないのかもしれない。

(ブロ友さんから街灯にも飛んで来るよ!とアドバイスを頂きました)