シタベニハゴロモ 兵庫県姫路市安富町 2023年9月3日 | 昆虫漂流記

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シタベニハゴロモ

Lycorma delicatula
兵庫県姫路市安富町皆河
2023年9月3日

 

シタベニハゴロモは中国、台湾、ベトナム、インドに分布し、後に韓国やアメリカでも発生が確認されたビワハゴロモ科の昆虫です。外来種です。

 

 

日本国内では1930年代に長崎、沖縄、東京において発生が確認されて遇産種とされてきました。
その後、2009年に石川県で国内の大量発生が確認されて定着が確認されますが、周囲の住人からの情報では2007年以前には、すでに侵入していたとの情報もあります。
石川県で見つかった数年後には、隣接する各県でも見つかっていますが、その後は遠く離れた地域でも見つかっています。

近年までに、石川県-初報告、福井県各地-2013年、富山県各地、滋賀県高島市マキノ-2022年、岐阜県各務ヶ原市-2022年発見、岡山県備前市-2019年、大阪市住之江区-2017年、奈良県北葛城郡王子町-2022年採集、兵庫県など(私の知識不足で記載漏れの可能性があります)で見つかっています。
2021年に富山大学が研究結果を英国の学術誌 「Scientific Reports」に発表された「Press Release」においては、岡山県の個体群と石川県の個体群には遺伝的に違いがあり、日本国内には2回の別ルートでの侵入があった可能性が高いと発表されています。
富山大学が英国の学術誌 に発表された「Scientific Reports」の「Press Release」をリンクしておきますので内容に興味がある方は、こちらにリンク先を紹介しています。

「こちらをクリック」

さて兵庫県内の情報では、明石市魚住町-2018年、たつの市新宮町-2021年、たつの市揖西町-2021年、赤穂郡上郡町金出地-2021年、赤穂市坂越-2021年で記録があります。

今回のシタベニハゴロモの確認地は兵庫県姫路市安富町皆河で、今までの記録報告地域より直線距離で20km以上離れています。
採集の経緯はブログ前記事に記載したシンジュキノカワガの成虫がホバリングで飛んでいたシンジュの樹にシタベニハゴロモが留まっていました。
最初に見つけたのは9月2日で、シンジュキノカワガの採集を優先している間に、シタベニハゴロモを見失って逃がしてしまい、翌日3日に同所を再訪問して、同じ樹木にてシタベニハゴロモの成虫を撮影と採集を行いました。
他個体は居ないのか?と周囲のシンジュの樹を叩き出すと、更に1匹が飛び出し、近隣のシンジュに止まった瞬間に撮影が出来ましたが、逃げ足が速く捕獲は失敗しました。

 

1匹目の個体(よく見ると樹液を吸う為に口吻を樹に差し込んでいます)

 

2匹目の個体(驚かして樹にとまった瞬間です)

 

 

その後も重ねて同地を訪問しましたが、追加の個体は未確認です。

 

シタベニハゴロモは綺麗な昆虫ですが、大量発生により甘露を含む排せつ物が付近の植物や寄生植物(シンジュの樹)にスス病を発生させて枯死させてしまう事から、発生には気を付けていなければいけません。

光の当たる方向や光の強さで色合いが違って見えますが、同じ個体です。


今回の周辺環境は、シンジュキノカワガと同じですので写真のみで説明は省略し、その記事をリンク先にて紹介しておきます。

リンク先は此方をクリック→「シンジュキノカワガ 兵庫県姫路市


 

尚、NPO法人こどもとむしの会、佐用町昆虫館の「みんなも、昆虫調査員!このむし、みつけたら、おしえてね【MM:むしみっけ 2023年版】」の情報提供フォームにも報告対象昆虫に含まれていましたので、採集地、JPS情報等を添付して報告済です。

参考文献

  • 富山大学の「Press Release」英国の学術誌 「Scientific Reports」への報文
  • むし社「月刊むし2013年11月 No.513 特集勢力拡大中の昆虫たち~石川県に定着したシタベニハゴロモ」
  • NPO法人こどもとむしの会 佐用町昆虫館「発行会誌きべりはむし(第45巻第1号(2022))「兵庫県におけるシタベニハゴロモの確認記録」」
  • その他