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モラス・ハラスメントが夫婦の間で行われる場合、幾つかの段階を踏んで行きます。
① 相手を惹きつける。
② 相手に影響を与える。
③ 支配下に置く。
④ 精神的な暴力を振るう。
これまでの二つの記事で、①と②の段階に関して考慮しました。
本日は三段階目の「支配下に置く」に関して考慮しましょう。
精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌ著作「モラル・ハラスメント 人を傷つけずにはいられない」のP162には次のように記されていました。
この支配には三つの側面がある。
① 相手のアイデンティティーを失わせることによって、相手を自分のものにする。
② 相手を服従させ、依存させることによって、自分の言うことをきかせる。
③ 相手に自分の刻印を残す(たとえば、自分と同じ意見や好みを持たせる)。
アイデンティティーとは、主体性の事です。
このアイデンティティーの崩壊を、前妻は繰り返し私に対し行いました。
例えば、私がスーツを選んだとします。シャツとネクタイはこれが良いとチョイスします。私が選んだチョイスを見て、前妻はこう言います。
「スーツとネクタイの色が変」
「センスが悪い」
「ダサッ」
毎回こう言い続けられますと、さすがに鬱陶しくなり、
「じゃあお前が選べよ」
とスーツを選ぶと言う権利を、前妻に明け渡してしまいました。
これはほんの一例ですが、この手の生活の小さな部分、他にも下着であるとか、使用するシャンプーやボディソープの類など、そういった主体性を私から前妻は奪い続けました。
生活の主体性を奪われ続けますと、前妻に全てを依存する形になります。
自分で何かを購入すると言う考えは脳裏から消え去り、前妻に全て任せ依存するようになります。
前妻が用意した下着を着て、用意したスーツに袖を通し、用意したソープで身体を洗い、用意した酒を飲み、用意した布団に用意したパジャマを着て寝るのです。
この生活全般の依存に加え、前妻は言葉によって私を洗脳していきました。
「あんたは私がいないと暮らしていけない」
「あんたの好みを分かってるのは私だけだから」
「私がいなくなったら、あんたは一人で暮らせないね」
「あんたは子供みたいなものだから、世話が焼けるよ」
など。
正に先に引用した本の1と2の段階を、知ってか知らずか忠実に前妻は踏んでいったのです。
①相手のアイデンティティーを失わせることによって、相手を自分のものにする。
②相手を服従させ、依存させることによって、自分の言うことをきかせる。
そして、③へと続きます。
相手に自分の刻印を残す(たとえば、自分と同じ意見や好みを持たせる)。
これは、あげるときりが無いのですが、前妻は自分の好みを私に刷り込んで行きました。
例えば私は、動物も花も基本好きではありません。
逆に前妻は、動物と花が大好きです。
「昔から動物がいるのが当たり前だったから、なんでも良いから動物が飼いたい」
と言えば私は了承し、無駄だと思っても、切り花や鉢植えを買い続ける前妻を止めませんでした。
一度借金を抱えた時などは、無駄な花を買うのをやめて欲しいと懇願しましたが、前妻は泣き叫びながら、
「花も買っちゃだめって言うの!?」
とヒステリーを起こしたので、致し方なくそれも了承していました。
動物も花も、私は本来好きではありませんが、常に傍に置かれ続けると、動物も可愛いと感じて来ますし、花も綺麗だなと思うようになります。こうして徐々に前妻は、私の好みを変化させていきました。
さらに前妻は、私の好きなアーティストをけなしました。
「聴いてると頭が痛くなる」
と言ったり、そのアーティストの私生活や外見を取り上げては、けなしつづけました。
私はその度に嫌な気分になり、車の運転中は彼女の好きなアーティストの曲をかける事が多くなりました。
ずっと聴かされ続けていると、それほど好きでは無いアーティストの曲も、何気に口ずさむ事が多くなりました。
こうした刻印を残す方法は、相手を自分に服従、依存させ、洗脳していく為に必要な作業なのでしょう。
さて、三回に渡って、夫婦の間でモラハラが行われる場合に、踏んでいく三つの段階を考慮する事が出来ました。
相手を惹きつけ、
影響を与え、
支配下に置く。
この三つの段階を踏襲しつつ、言葉による洗脳をし続けるのならば、立派なモラハラ被害者の出来上がりとなります。
後はもう、精神的な暴力を振るい放題となります。
モラハラ被害者は、加害者の度重なる口撃と巧みな洗脳によって、自分が悪い、自分が駄目だから相手を怒らせてしまっている。全て自分のせいだ。
と自分を責める事で、モラハラ加害者を庇うようになります。
もうこうなったら、後は負の連鎖しかありません。
加害者は自己愛を満足させる為に、日常的に被害者にモラハラという暴力を振るい、相手を完璧な人間だと洗脳されている被害者は、あの人は悪く無い、怒らせてしまっている自分が悪い、全て自分のせいだと、加害者を庇い続けるのです。