高速道路の出口が渋滞 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/4/2

 

どんなジャンルであれ、一芸に秀でた人たちの言葉には傾聴に値する
ものがあります。

 

『将棋棋士の名言100』

   後藤元気著 出版芸術社

 

本書の序文にはこうあります。

 

“多くの棋士は幼くして将棋を覚え、すぐにバッタバッタと大人を
負かし、小学校を卒業するころにはプロ入りを意識する。
おらが町で一番の天才、神童とちやほやされた少年たちが全国から
集まるのが奨励会。その中で優勝劣敗の格付けが行われ、勝ち残っ
たひと握りがプロ棋士となる。

 

・・・プロ棋士になれば満願成就となるわけではない。
今度は棋士同士で戦い、誰が一番強いかを決める。勝てば勝つほど、
さらに強い相手が待っている。
トップに立てたとしても、今度は他の棋士全員がその座を奪いにや
ってくる。
自らレールを外れるまで終わりはない。

 

上を見る戦いばかりではない。負けが続けば対局が少なくなり、生
活も苦しくなる。奪うための戦いと守るための戦いが、それぞれの
立場で同時に行われているのだ。”

 

著者の後藤さんは指導棋士二段です。プロ棋士になれなかったおら
が町の神童の一人ということになります。

 

「高速道路の出口が渋滞している。」 

                                    ・・・羽生善治三冠            


棋譜のデータベースなど情報環境が整備され、一定レベルまでの
上達スピードは高速道路を走るように速くなった。しかし、トップ
棋士の椅子はわずかしかないのでその先に行く道が渋滞を起こすの
です。

 

ビジネスの世界も同じです。
情報がフラット化され、情報を持っているというだけでは武器とは
なりにくい時代なのです。

 

「思考はタケノコのようなもので。大部分は土の中に埋もれている。」
                  ・・・坂田三吉

 

“将棋は何十手先の枝葉を読んでも、実際に指せるのは目の前の
一手だけ。しかも相手が読みを外してくれば、読みの大半は日の
目を見ずに埋没してしまいます。
棋士はそういう無駄のなかで、辛抱強く戦っている。


そのときには役に立たなくても、考えた時間が血となり肉となり、
いつか花開く。必死に考えたことに無駄はない。”

 

「どんなことでも、苦しみに値するだろうね。」

                                    ・・・金子金五郎
            
“ひとつのことに真剣に取り組めば苦しくなるのは当たり前。
世のために役立つかどうかは、世の中、周囲の人次第。
まったくいらないものなら、わざわざ金を出してくれる人がいる
わけもない。”

 

「勝たねば食えぬ。勝てば相手を食えなくさせる。」

 

金子金五郎棋士は、こんな言葉も残し、50歳を前に引退して出家
しました。
戦いには常につきまとう葛藤でしょう。


「自分には夢がふたつある。ひとつは名人になって将棋をやめて
 のんびり暮らすこと。もうひとつは素敵な恋をして結婚すること。」
                      ・・・村山聖

 

仕事での目標到達と、温かい家族。願うことは誰でも同じなのかも
しれません。

早熟の天才にして勝負の鬼。
残念ながら彼はそのどちらの夢もかなえることなく、29歳で夭折しま
した。