私は女優! | 店舗探し.comの過去コラム

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2010/02/271

 

「この世はすべて舞台だ。男も女もその役者に過ぎない。」
(お気に召すまま)

 

常に見られることを意識し、見られたい自分像を演じ続け
なければならない女優にとっては、まさに「この世はすべ
て舞台」なのでしょう。

 

有名女優は、一身に視線を集めます。

舞台、テレビ、映画といった公の場だけでなく、プライベ
ートでも常に周囲から、遠慮のない視線を浴びることが宿
命です。
その眼差しの多くは、称賛や羨望、感嘆といった熱いもの
ですが、中には反感や軽蔑、敵意といった冷ややかな視線
もあるでしょう。

 

女優としての価値は、視線の「質」と「量」との掛け算によっ
て決まるわけですから、女優の職業意識の高さは、一般
大衆からどう見られているかをどれほど自覚できているか
で決まります。

そして女優の実力とは、大衆からの視線のありようを、
戦略通りにコントロールできる能力と言い換えることも
できるのです。

 

あるシチュエーションで、何を着て、どんな化粧をするの
か。何センチの歩幅で歩き、どんな指遣いで髪を掻きあげ
るのか。


世間知らずを装い目をぱちくりするべきか、投げやりな言
葉遣いでアンニュイな雰囲気を演出する方が効果的か。


品行方正な清純派で押すのか、スキャンダラスな言動で耳
目を集めるのか。

 

自分の持てる資質にレバレッジをかけて、女優としての最
大の成功をするために、ありとあらゆる手段を講じるので
す。

 

店舗営業も、そういう意味では女優業に近いといえます。

店は、常に顧客の目に晒されながら営業しています。


どんな場所で、どんな内装をした店舗で、どんな商品を
どんなディスプレイで並べるのか。

 

下僕のような態度でお客様を王様のように扱った方が、
客単価を上げられるのか、アットホームな雰囲気を作り、
フレンドリーな接客をした方が、売上を伸ばせるのか。

 

自分達が持っている商品やサービスの特長や個性にレバ
レッジをかけて、効果的な方法で顧客に訴求することで、
最大限のパフォーマンスを実現することができるのです。

 

「ショッピングセンターは舞台である。テナントは割り
振られた役を演じる存在なのだ。」
                (店舗探し.com)

 

食品スーパーが主役。

 

脇を固めるのが家電量販店、ドラッグストア、ハンバー
ガーショップなどのベテラン陣。

 

行列を作る流行のスイーツショップはアイドルのような
存在。

 

構成上必要不可欠だけれど、地味な役回りの合鍵・靴修
理の専門店。

 

日替わりゲストのように、サプライズを演出する、催事
や各種のイベント・・・。

 

ヒーローやヒロイン。悪役や敵役。お調子者や道化役。
賑やかしや通行人役のエキストラ。

 

個々の店舗が、それぞれの役割に応じた最高のパフォー
マンスを演じ、そのアンサンブルがうまくいけば、ショ
ッピングセンターは高い売上を実現することが出来ます。

その成功はアカデミー賞作品賞の受賞に匹敵し、各店に
も、主演女優賞や助演男優賞をもたらすことでしょう。

 

空き物件に出店する場合、そのショッピングセンターの
中で、現在どんな役回りの役者が不足しているのかを把
握し、その穴を埋めるような企画を提案すれば、商談は
スムーズに進みます。

 

フロアの片隅に小さな店舗が区画として空いています。
SC担当者としては、フロア全体の中でワンポイントの
アクセントとなるテナントに入ってもらいたいと考えて
います。

 

例えれば、ただのワンカットの登場だけでも存在感を主
張し、映画全体をピシッと締めるような名脇役のような
店です。

そんなことにはお構いなしに、主役のように出ずっぱり
を要求し、あれもこれもを詰め込んだ俺様企画の提案を
してしまったら、SC担当者は苦々しい顔をすることで
しょう。

そして、決してその区画への出店を許してはくれないで
しょう。

 

大女優は、監督の意図を深く理解して、劇全体の完成度
を高めるための演技ができます。

それだけではありません。

その日の舞台の客層や空気の変化を敏感に察知するや、
とっさのアドリブを入れたり、演技プランを微妙に修正
してしまいます。

そして、その日限りに通用する、最適なパフォーマンス
を披露してくれるのです。

 

あなたの店が、ショッピングセンターの中にあって、そ
んな大女優のような振る舞いを身につけた存在になれば、
主役を依頼するオファーが、あちこちのディベロッパー
から殺到することでしょう。