『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』 | 店舗探し.comの過去コラム

店舗探し.comの過去コラム

会員様向けメルマガに掲載された過去のコラムを掲載しています。

2013/5/28

「生ビール大ジョッキ、何杯飲んでも一杯500円!」

「これは得だ!」思わず暖簾をくぐって「大生一杯。」
注文してみてふと違和感を覚え、しげしげとポスターを見つめ直して
みます・・・あっ!

『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』
  ケヴィン・ダットン著 NHK出版

冒頭の逸話は私の実体験ですが、本書にはこうした事例が次々と
紹介され、あっという間に読み進んでしまいます。

「1枚だけですからコピーを先に取らせてくれませんか?
 ものすごく急いでいるんです。」

こういう代わりにこんな言い訳を言ってみてください。

「コピーを使わなければならないので、最初に取らせてください。」

実験結果ではどちらの言い訳も成功率は同じだったそうです。

1分以内に「○○○○○n○」というパターンの英単語をできるだけ
考えてください。

・・・今度は「○○○○ing」というパターンで同じことを
してください。

実は最初のパターンと2番目のパターンは同じです。
しかし、2回目のほうが思いついた単語は多かったはずです。

「オペレーターがご注文を受け付けています。今すぐお電話ください。」

を、

「オペレーターにお電話がつながりにくい場合は、もう一度お掛け
 直しください。」

コピーライターのコリーン・ショットはこのように呼びかけを変更
しただけでショッピング・チャンネルの売り上げ記録を塗り替えた
そうです。

セブンアップの中身は一緒で、缶の黄色をより強くしたものと、緑
色を濃くしたものを作りました。
黄色っぽい缶を買った人は飲みなれないレモンの味がするといって
きました。
緑色っぽい缶を買った顧客は、ライムの味が混ざっていると苦情を
訴えました。

・・・脳は考えるより前に行動しています。
まず信じ、それから評価し、熟考するのです。
私たちが取り入れる見方は、論理的に考えた帰結ではなく、逆に論
理的に退けられない見方なのではないか。
本書はこう推論しています。

最後にもう一例。

1995年、高名なプロフットボール選手だったO・J・シンプソン氏が
妻を殺害したとされる容疑での裁判で、被告側弁護人のアラン・
ダーショウィッツという優秀な弁護人はこう述べました。

「毎年アメリカでは約400万人の女性がパートナーから暴力を受けて
 いる。
 しかし、その400万人のうち虐待者に殺されたのはわずかに1432人
 にすぎない。
 被告が有罪なのは実際に約2500分の1の確率なのです。」

251日間の裁判の末に、シンプソンは自由の身となって法廷から出て
いきました。

しかし、データは検察側に気づかれないままに、根本的な別の可能性
を隠していました。
殺害された1432人の女性のうち、90パーセントはパートナーの手に
よって殺されていた、という事実を・・・。

良書です!
ご一読をお勧めします。