2011/5/19
RC=(A+2,4C)(B+3C)/9C-0,9C
A=(安打)+(四球)+(死球)-(盗塁死)-(併殺打)
B=塁打+0,26×{(四球)+(死球)}+0,53×{(犠打)+(犠飛)}
+0,64×(盗塁)-0,03×(三振)
C=(打数)+(四球)+(死球)+(犠打)+(犠飛)
見ているだけで頭がくらくらしそうなこの計算式RCは、プロ野球
選手が、チーム得点の中で何点分の貢献をしたかを表わす指標と
なるものです。
『9回裏無死1塁でバントはするな
~野球解説は“ウソ”だらけ』
鳥越規央著 祥伝社
野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の
評価や戦略を考える分析手法を「セイバーメトリクス」と言います。
1970年代に提唱されたものですが、1997年にアスレチックスのGMと
なったビリー・ビーンが「セイバーメトリクス」を活用したスカウ
ティングシステムで、低予算で効率よく勝てるチーム作りに成果を
上げると、メジャーリーグの他球団でも追随するところが出てきま
した。【『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著 ランダムハウ
ス講談社)に詳しいです。名著!】
本書では、9回裏無死1塁でバントを成功させると、かえって勝利
確率を4%下げてしまうこと、ツーストラク・ノーボールから1球
外してボールとすると、打率が4分上がってしまうことを統計から
指摘し、従来の常識をいくつも覆していきます。
「セイバーメトリクス」は選手の評価にも導入され、冒頭の計算式
を始め、いくつもの評価指標が活用されてきています。
毎日の顧客の消費動向を分析し、商品選定や開発などに活用する
ことはコンビニなどではすでに常識中の常識です。
POSレジさえ導入すれば、個人商店でもかなりのデータを獲得する
ことが出来る時代となっています。
しかし、毎日集計されるデータは膨大ですから、専門に分析できる
人員を割けない規模の店舗では、活用するテーマを絞って着目する
数値を限定しないと、消化不良を起こしてしまって日常業務に
フィードバックすることができなくなってしまいます。
これまで、いずれ分析するつもりだというレシートの束が、何年分
もダンボールに眠っている個人商店をたくさん見てきました。
それは、まるで全巻揃えの百科事典が1度も開かれることなく埃を
被っているようなもので、宝の持ち腐れなのです。
個人商店などでは、集められたすべてのデータを活用しようなどと
肩に力を入れないほうがいいのではないかと思います。
接客担当者がその日のお客様とのやりとりから感じた皮膚感覚を、
POSデータで確認してみる、といった程度の方が長続きし、日常
業務にも活かせることが多いようです。
あらゆる数値に囲まれた情報化社会にあっては、取捨選択の能力
こそが一番重要なのです。