2011/11/18
百尺竿頭進一歩(ひゃくしゃくかんとうしんいっぽ)
長い苦労の末に悟りの境地にたどり着いたとしてもそこで
良しとして安住してはいけない、命をも投げ出す覚悟で
さらに一歩を進むことが大切であると説いたものです。
学回向返照退歩(えこうへんしょうのたいほをがくすべし)
私たちの眼は、常に前方ばかりを見ているけれども、その
光をめぐらして、自分の足下にあてて、時には自分を見つ
め直しなさいと説いたものです。
『宿坊 ココロとカラダ満つる旅 東北路』(BSプレミアム)
数多くの案内書が発売され、女性誌の特集でも“究極の旅”
とされる「宿坊」の旅を4人の女性が体験する番組で、先月
放送されました。
冒頭の言葉は、モデルの長谷川理恵さんが、山形の善寶寺
を訪れた際、五十嵐住職から賜った言葉です。
居心地の良さに安住せずにさらに前へ進めと尻を叩く言葉と、
冷静に自分を見つめなおす必要性を説く言葉と。
長谷川さんはしっかりと受け止めたようでした。
番組の第二回は女優の高岡早紀さんで、秋田の永伝寺を訪ね
ました。
長谷川さん同様、田舎の山寺には全く不似合いと見えました
が、高岡さんは座禅を組みながら感極まって涙を流し、翌朝
の滝行も無事にやり通しました。
当初、あまり気乗りのしない雰囲気を漂わせていた二人です
が、帰る時にはどこか毒素を吐き出したようなさっぱりと
した表情を見せていたのが印象的でした。
「臨兵闘者 皆陣列在前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい ・
じん・ れつ・ざい・ぜん)!」
高岡さんが滝行で唱えた“九字”の呪文は、災いから身を守
るとされています。
高岡さんの真似をして、指を剣になぞらえて、空中に線を描き
ながら“九字”を叫んでみます。
何かご利益があるような気がして来るから不思議です。
にわか修行であっても、人知を超えた目に見えない神秘の力が
作用するのかもしれません。