振り向くな、振り向くな・・・ | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/10/21

昭和最強の「皇帝」と言われたシンボリルドルフが10月4日に死に
ました。
日本競馬史上、初めて無敗でクラシック三冠を達成し、GI競走で
通算7勝は日本中央競馬会(JRA)最多タイ記録です。
 
1983年シンボリルドルフがデビューする少し前に、ひとりの競馬
ファンが亡くなっています。
寺山修司さんです。
歌人、詩人、映画監督、演出家・・・。

「僕の職業は寺山修司です」

と答えていたほど多才だった彼は、報知新聞に競馬の予想コラム
『風の吹くまま』を連載していました。
13年続いたコラムの第1回は昭和45年10月10日、こんな書き出しで
した。
 
“3月20日生まれの女と同棲していたことがある。
 その女はわたしの放縦なわがままの犠牲になり、わたしの最初
 の著書の出版記念に姿を消した。置き手紙にはただ


 「おめでとう。おしあわせに」


 と書いてあったがその年上の水商売の女は、破滅型のわたしに
 立ち直りの機会をあたえてくれた恩人であり、笑っているとき
 でも泣いているようにみえる女だった。

 きょうの「京成杯」に3月20日生まれの馬が2頭出ている。
 スイートサファイヤとシゲコトブキである。

  3月20日生まれは神秘、悲哀の「魚座」の星で、勝負に強くは

 ないことになっているが、きょうは思い切ってこの2頭を馬券に

 からめてみたいと思う。


 ・・・30過ぎてまだ女によって幸運の星にあやかろうとするの
 はさもしいが、勝負の目はどうでるだろうか?”
 
ミオソチス(忘れな草)という牝馬を愛し、吉永正人騎手を贔屓
にした寺山さんは吉永騎手のダービー制覇も、シンボリルドルフ
の活躍も見届けることは出来ませんでした。
 
「競馬ファンは馬券を買わない。
 財布の底をはたいて自分を買っているのである。」
 
「賭博には、人生では決して味わえぬ敗北の味がある。」
 
「なみだは人間の作るいちばん小さな海です。」
 
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない。」
 
「さよならだけが人生。
 ならばまたくる春はなんだろう。」
 
彼が残した珠玉の言葉は、今でも決して色褪せることなく輝き続
けています。
 
さて、今度の日曜日は菊花賞です。
きっと、またひとつ、新しいドラマが紡がれることでしょう。