2013/10/17
○○小学校→××中学校→△△高校→東大
○○や××に入る名前は違っても、最後にはすべて東大で
あがりになります。
かつては日本全国どこの地方でもこうした鉄板の成功コース
が存在していました。
コース通りに進んでいけば、末は博士か大臣か。人生の成功
間違いなしと、親からはそれとなくほのめかされ、近所の
おばちゃん連中からは無責任にけしかけられる。
中年以上の年代の人なら誰もがこんな経験をしたことがある
はずです。
しかし、コース通りに進んだからといって、必ずしも成功が
約束されるわけではない時代となって久しくなりました。
別ルートで、しかももっと短距離で脚光を浴びる人たちが
続々と誕生し、成功のバリエーションも多様化しました。
ところが、今でも成功への切符を手に入れるために絶対有利
だと誰もが信じて疑わないコースがあります。
野球名門高校→甲子園出場→プロ野球
東大へ合格するよりはるかに狭き門である甲子園出場は、野
球エリートとして文句のない勲章です。
野球はチームゲームですから、いくら本人に力があっても、
弱小高校では甲子園出場はかないません。甲子園への出場常
連校に入学することが、野球エリートへの第一歩であること
は、誰しも認めるところでしょう。
ところが、甲子園など見向きもせずに、一直線でプロを目指
すという高校が登場しました。
学校法人芦屋学園は、来年4月に芦屋学園高に日本高野連に
加盟しない硬式野球部「芦屋学園ベースボールクラブ」を
新設し、関西独立リーグに所属する兵庫ブルーサンダース゛
2軍の下部組織に当たる「育成軍」として活動すると発表し
ました。
この試みが見据えているのは、甲子園から日本プロ野球と
いう道をショートカットして、高校からいきなり大リーグ
へ挑戦するバイパスを作ることでしょう。
生産者→卸業者→小売業者→消費者という商品の流れに中
間省略が起きて、生産者がダイレクトに消費者と取引をす
る道路が太くなってきたように、夢の実現にもショートカ
ットの時代がやってきているのでしょう。
○○小学校→××中学校→△△高校→東大の時代は、一段
階進むごとに次第にふるい落とされて人数が絞られていき
ました。
途中でドロップアウトした者はその時点で進路変更をして
いったのです。
今では、あらゆる世界で中間省略が行われ、夢への挑戦権
は容易に獲得できるようになりました。
だからといって、夢の実現へのハードルは、ちっとも下が
ったわけではありません。
予選を突破した粒のそろったエリート同士の戦いから、全
員参加の戦いになったにすぎないのです。
たとえどれほどコースの多様化が進んだとしても、実力あ
るものだけが栄冠を勝ち取るという構図は、いささかも揺
るがないことでしょう。