ポケットをたたく | 店舗探し.comの過去コラム

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2011/10/13

筋力が衰えてきたので筋トレを始めました。

それがどうしたと突っ込みを入れられそうですが、始めたのが
99歳の男性だとしたら驚異的なことと言わざるを得ません。

『日野原重明 100歳 いのちのメッセージ』(NHKスペシャル)

先日100歳の誕生日を迎えた日野原さんは聖路加国際病院理事長
で、今なお現役の医師です。
110歳までは仕事をしたいと、弱ってきた下半身を鍛えるために
筋トレを開始するなど、前向きな姿勢と意欲は全く衰えを知りま
せん。

白やぎさんから お手紙 ついた
黒やぎさんたら 読まずに 食べた
しかたがないので お手紙かいた
さっきの 手紙の ご用事 なぁに

黒やぎさんから お手紙 ついた
白やぎさんたら 読まずに 食べた
しかたがないので お手紙かいた
さっきの 手紙の ご用事 なぁに

日野原さんより1歳先輩、101歳のまど・みちおさんの作品
『やぎさんゆうびん』 は、終わることのない詩です。
白やぎさんと黒やぎさんとの間では何度も手紙がやり取りされ
るものの、いつまでたっても最初に書かれた白やぎさんの手紙
の内容は明らかになりません。

しかし、解決されないままに永遠に繰り返されるのは、私たちの
日常生活そのものとも思われ、まさに生きていくことの本質なの
かもしれません。

ポケットの なかには
ビスケットが ひとつ
ポケットを たたくと
ビスケットは ふたつ

もひとつ たたくと
ビスケットは みっつ
たたいて みるたび
ビスケットは ふえる

そんな ふしぎな
ポケットが ほしい
そんな ふしぎな
ポケットが ほしい

ビスケットが永遠に増え続けることを願う『ふしぎなポケット』
もまた、まど・みちおさんの作品です。
まどさんは、ぽんぽんとポケットを叩いてビスケットを増やすよ
うにして、101もの年月を淡々と重ねてこられ、これからもポケ
ットを叩いて永遠に年を重ねていこうと希求しているのでしょうか。

朝 目覚め 
   両手を挙げて 我百歳          
            日野原重明

志まだ半ばだとはいえ、100歳を迎えた日野原さんの笑顔は、ある
種の達成感に満ちているように見えました。

私たちも日野原重明さんやまど・みちおさんを見習って、いつか
「我百歳!」
と両手を挙げて叫んでみたいものです。

そのためには、すっきりと解決することなく同じように繰り返され
るかに見える日常に、決して手を抜くことなく、淡々とポケットを
叩き続けるべきなのでしょう。
 

*まど・みちおさんは2014年に、日野原重明さんは今年7月に

 お亡くなりになりました。

 お二人のご冥福をお祈りいたします。