2012/10/1
「僕は、同世代のファンのためだけに活動を続けていこうと
決意 しました。若い人たちにわかってもらおうと媚を売る
ようなまねはしません。」
歌手の舟木一夫さんは67歳となった今でも、学生服姿で『高校
3年生』や『学園広場』を熱唱します。
18歳で、当時としては異例の学生服姿で歌った『高校3年生』で
すが、デビュー曲ながら100万枚を売り上げる大ヒットとなり、
舟木さんは一躍スター歌手の仲間入りを果たしました。
橋幸夫、西郷輝彦とともに“御三家”と呼ばれるアイドルとして
頂点を極めましたが、次第に人気が低迷してしまいます。
3度に及ぶ自殺未遂など、私生活上のトラブルもありました。
しかし、デビュー30周年の公演を機に、中高年女性のアイドルと
して人気が再燃しました。
「ファンの皆さんが見たいのは、年を取って人生経験を積んだリ
アルな舟木ではなくて、いつまでも純真な高校3年生の舟木一
夫なんです。」
何十年ぶりかのクラス会に参加すると、同級生たちのあまりの老
けぶりにショックを受けてしまいます。
そして、「お前も変わったなあ。」と皆から指摘されて初めて、
自分自身も傍から見ると年相応に老けてしまっていることに気付
かされるのです。
「モナリザ」とよく似ているとされてきた女性の絵が、レオナル
ド・ダ・ビンチ本人による作で、モデルも同一人物であるとの鑑
定結果が出たとの報道がありました。
「第2のモナリザ」は名画「モナリザ」よりも11~2歳若い時のも
のだそうです。
「第2のモナリザ」は色白でややふっくらとして額も広く描かれて
います。同一人物だと言われれば確かに似ているようです。
しかし、どこがどうと具体的に指摘することはできませんが、こ
れを本物だと認めたくない気持ちがふつふつとわいてきて、居心
地の悪い思いがします。
かつて憧れて熱狂したスターや初恋の相手は、胸の内の奥底に当
時のままの姿で時を止めたまましまいこまれています。
昔の映像や古いアルバムを眺めては、その変わらない姿を確認し
て、つかのま、過ぎ去ってしまった膨大な時間のことを忘れるの
です。
水気を失いたるんだ肌、刻みこまれた無数の皺・・・。
現実は、毎日鏡をのぞきこむだけでいやでも突き付けられています。
「第2のモナリザ」の真贋の事実はどうあれ、やはり「モナリザ」
はあのモナリザ1枚きりでないとどうにも心が落ち着きません。
剛力彩芽ちゃんはトイレに行きませんし、吉永小百合さんがホスト
クラブでシャンパンコールをすることはあり得ませんし、高倉健
さんは決して入れ歯洗浄剤のコマーシャルには出演してはいけま
せん。
スターがイメージを壊さないために強い意志で自分を律してくれ
るおかげで、時の流れには決して抗うことができず、うつろいゆく
儚い存在である私たちが束の間の夢に浸ることができるのでしょう。