ひと夏の経験 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/8/30

あなたに 女の子のいちばん
大切なものを あげるわ
小さな胸の 奥にしまった
大切なものを あげるわ
愛する人に 捧げるため
守ってきたのよ
汚れてもいい 泣いてもいい
愛は尊いわ
誰でも一度だけ 経験するのよ
誘惑の甘い罠
       (作詞:千家和也)
 
山口百恵さんの『ひと夏の経験』にドキドキしたのはもう40年も前の

ことです。
必死の思いで決断したひと夏の経験を経て、娘は女へと変身します。
 
やめて 愛してないなら 
やめて 口づけするのは 
やめて このまま帰して
貴方は悪い人ね 
わかってても貴方に逢うと 
イヤと言えない駄目なあたしね
だから今日まで 
だから今日こそ 
嫌いにさせて 離れさせて
            (作詞:安井かずみ)
 
辺見マリさんは『経験』をリリースした時まだ19歳でした。
【あなた】が【貴方】へと変わる数年間で【娘】は【良】を失い【女】となる

のです。
それを成長と呼ぶのか、堕落と見るのかはともかく、人は、様々な経験

を通して変わっていくものなのです。
 
今年は各地を「これまでに経験したことのないような豪雨」が襲い、多く

の被害がもたらされました。
気象庁が採用した「これまでに経験したことのないような」という表現は

確かにわかりやすいと言えるでしょう。
しかし、今後、同様の豪雨となった時に、気象庁ではどんな表現を

用いるつもりなのでしょうか?
 
天災、大切な人との別れ・・・。

避けることができない経験というものがあります。
今日もどこかで、失恋の痛みに胸が張り裂けそうな思いに苦しんで

いる少女がいることでしょう。
その苦しみは、しかし何年か後にはきっと、甘酸っぱい記憶として彼女

の心に刻み込まれているに違いありません。
 
ただし、天災についての経験だけは失恋の痛手とは違い、年月が記憶

を甘いものに変えてくれることはありません。
またいつか襲われたときに、「何年前の例の天災で経験済み」だからと

軽んじることもできません。
豪雨についての「ひと夏の経験」は、トラウマとしていつまでも残ること

でしょう