2011/8/25
【株】とは何か。
正確に説明できますか？
SCに出店しようとすると、個人では契約してもらえないことが多い
ので、法人を設立することになります。
2006年に新会社法がスタートしてからは有限会社の設立ができなく
なったので、ほとんどの人が株式会社を設立して法人としての体裁
を整えるようになっています。
しかし、株式会社を設立して社長となった人も、株式会社の社員も
資産運用として株に投資をしている人も、実は“株とは何か”という
問いに正確に答えられる人は少ないように思います。
『株とは何か 市場・投資・企業を読み解く』
山本昌弘著 講談社選書メチエ
本書は、“株とは何か”について、主にファイナンスとガバナンスの
2つの側面から考察し、解説しています。
株式会社と資本市場の歴史の初めから金融工学が組成するさまざま
なデリバティブなど、現代ポートフォリオ理論に至るまで、比較的
平易な文章で書かれています。
しかし、ハイリスクをいかにコントロールするかという観点から展開
されてきた高度な現代ポートフォリオ理論も、所詮は平時でしか役に
立ちません。
歴史上何度も繰り返されてきたように、実体以上に景気が過熱する
バブルと、その後の不況や恐慌時には、有効な解を導き出してはくれ
ないのです。
本書ではそうした現代ポートフォリオ理論の限界を示しながらも、
なお資本市場は社会のリスクをコントロールするためにきわめて
有用であると主張しています。
特にSRI（社会的責任投資）の可能性と将来性について、肯定的に
言及しています。
SRIとは社会的かつ倫理的に好ましい企業のみに投資対象を限定す
ることですから、SRIが増えれば増えるほど、企業はCSR（企業の
社会的責任）に対する振る舞いを意識し、強化しなければならなく
なっていくのです。
SC出店のために便宜上設立したかもしれない株式会社であったと
しても、これからは利益追求以外の責任をも社会において果たして
いかなければ存続できないと覚悟しなければならないでしょう。